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論点

米の「インフレ抑制法」韓国のEV車に逆風

2022-09-10

ニュース

ⓒYONHAP News 

アメリカのバイデン大統領は16日、気候変動や医療費負担軽減対策に4300億ドル、およそ60兆円規模を投じる「インフレ抑制法案」に署名しました。

「インフレ抑制法」は、大企業や富裕層の徴税強化などで歳入を増やし、今後10年間で財政赤字をおよそ3000億ドル削減、一方で、「エネルギー安全保障と気候変動」の分野で、税額控除や補助金などを通じて3690億ドルを投じることにしています。

気候変動対策として電気自動車(EV)などエコカー購入者への税額控除、医療費負担軽減対策として薬価引き下げ策が盛り込まれていますが、エコカー購入者への税額控除の条項が問題になっています。

それによりますと、消費者が一定の要件を満たした電気自動車などエコカーを購入する際、中古車については最大で4000ドル、新車は最大7500ドルの税額控除を適用するとしています。

税額控除の適用対象となるのは、最終組立が北米で行われた電気自動車や燃料電池車で、バッテリーに使用される重要鉱物の一定割合がアメリカまたはアメリカと自由貿易協定を締結している国で抽出、処理されるか、北米で再利用されたものである必要があります。

来年からはバッテリーの部品の一定割合が北米で生産されたものである必要があるなど、要件はさらに厳しくなり、現時点ではこれらの要件をすべて満たす電気自動車はないとの指摘すら出ています。

問題は、現在アメリカで販売されている現代自動車のIONIQ(アイオニック)5や起亜自動車のEV6はすべて韓国国内で製造されていることです。

最終組立が北米で行われていませんので、税額控除の適用対象ではありません。

税額控除の適用対象から外されると、価格競争力が弱くなるのは避けられません。

こうした動きは、アメリカ主導で行われている半導体同盟「チップ4」や新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」にも、マイナスの影響を及ぼしかねないとする懸念もあります。

韓国政府はこの問題についてアメリカ側に懸念を伝え、問題解決に向けて動き出しました。

韓国産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)通商交渉本部長がアメリカを訪問、 アメリカ通商代表部のタイ代表に会って韓国政府や業界の懸念を伝えたほか、アメリカ政府や連邦議会の関係者に会って解決策を協議しました。

一方で、日本やヨーロッパの自動車業界も同じような状況に陥っていて、各国が協力して対応する動きも始まっています。

韓国、ドイツ、イギリス、日本、スウェーデンの5カ国とEUヨーロッパ連合のアメリカ駐在大使館の関係者らがこのほど会同し、この問題への対応について意見を交わしました。

アメリカは、この問題について協議に応じるとの姿勢ですが、バイデン政権としては11月の中間選挙を控えて成果をアピールする必要があり、「インフレ抑制法」はすでにアメリカ下院で成立していることもあって、短期間に解決策を見出すのは難しい状況です。


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