自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
9日、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたIOC(国際オリンピック委員会)の総会で韓国の李熙範(イ・ヒボム) 平昌冬季オリンピック組織委員長が平昌オリンピックの成果と収支、今後の管理に関する最終報告を行いました。その中で李委員長は
「IOCと(韓国)政府の支援、積極的な寄付、スポンサー企業の誘致、支出の効率化により、現在までに最低5500万ドル(約62億2000万円)の黒字を達成した。最小の費用で最大の効果を上げる経済オリンピックを実現できた。平昌五輪は財政面で当初2億6600万ドルの赤字になるとされていたが、そのような懸念を払拭(ふっしょく)できた」
黒字でできた剰余金はIOCと大韓体育会(韓国オリンピック委員会)、江原道が署名した「開催都市協約書」に従い、IOCと大韓体育会にそれぞれ20%が入り、残りの60%は組織委員会が大韓体育会と協議し、スポーツ振興のために使用することになります。 IOCのバッハ会長は
「平昌五輪組織委員会が全ての面で大変成功裏に五輪を開催したことを心からお祝いする。IOCはこのような偉大な業績を認め、韓国のスポーツの発展のためにIOC分の剰余金を平昌に寄付する」
と明らかにしました。また李委員長はIOCに対し、平昌五輪の競技が行われた12の競技場はスポーツイベントに使用する予定で、活用計画を確定できていない競技場は政府と江原道が管理・運営費の負担比率などを調整中だと説明しました。
では12の競技場は現在どんな状況になっているのでしょうか。中央日報が8月に調査をしたところ、今後の管理をどこがするのか決まっていない競技場が3箇所ありました。一番多くの建設費を投じて新設したアルペンスキー競技場は、競技場の施設をそのまま残すか、自然林を復元するかで対立しています。政府と江原道はオリンピック前に
「オリンピックが終わったらスロープの敷地は55%以上を元通りにして自然生態系を保護する」
と約束し、環境団体を説得していました。しかしオリンピック終了後雰囲気が変わり、文化体育観光部長官は今年3月の国会で
「政府が予算を支援してでも出来るだけもともとの目的、スポーツ施設として使用する方向で活用していきたい」
と述べ、江原道や大韓スキー協会も
「世界的に見ても指折りの滑降競技場を、通算で5日も使わずに取り壊すというのはあり得ない」
と主張しています。しかし政府内でも環境部は生態系を復元するようにと断固とした態度をとっています。そのためここは宙ぶらりんの状態が続いており、スキー場は放置されたままです。6月の集中豪雨の際にはスロープのあちこちが崩れ、土砂崩れの憂慮も起きています。
現在、管理主体が決まっておらず今後の方針が定まらない競技場は3箇所です。先ほどのチョンソンのアルペンスキー競技場のほかに、江陵のスピードスケート競技場とホッケーセンターも宙ぶらりんの状態です。残りの9箇所の施設はそれぞれ国家代表の訓練施設となったり、多目的の体育施設として活用されることが決まっています。
オリンピックの収支決算が黒字だったことは幸いですが、使い道の決まらない施設がまだ残っているというのは問題でしょう。そして平昌オリンピックの一番の成果は黒字よりも、むしろその後の南北首脳会談、南北交流への道筋をつけた点にあったのではないでしょうか。
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