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ライフスタイル

ワクチン接種 日本と韓国の差

#マル秘社会面 l 2021-06-09

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

日本語班では校閲委員の小須田さんが第一番目に新型コロナウイルスのワクチンを接種しました。いつ、どこで接種しましたか?

小 6月5日の土曜日に、近くのクリニックで受けました。韓国では、65歳以上のワクチン接種の予約は5月10日に始まり、接種は5月27日から始まっていますが、私のような外国人でも在留資格があり、住民登録番号があれば接種は受けられます。今週からは60歳以上を対象に始まりっています。

アストラゼネカのワクチンですよね。打つまでの順序は、時間はどのくらいかかりましたか?

小 予約時間の20分前に病院にいき、体調に異常がないことや、これまでアレルギー症状がないことなどをチェックした問診票を受付に提出し、医師からもう一度同じことを口頭で聞かれ、接種後は激しい運動はだめ、飲酒はダメ、水を多く飲むこと、熱が出るから解熱剤を用意するようになど、英語で説明してくれました。別室で看護師からワクチンを打たれました。そのあと20分、様子をみるために受付に待機し異常がないことを申告して帰りました。この間、病院についてから出るまで50分程でした。

一番皆が気にしている副反応はどうでしたか? 何かありましたか? 筋肉痛とか、発熱とか?

小 筋肉注射なので刺されたあとが、1,2時間くらい痛かったのを除いては、熱もでず、副反応はまったくありませんでした。


ここからは韓国と日本のワクチン接種のいろいろな違いについて比べていきたいと思います。

まずよく言われるのが、韓国の場合、接種の予約が比較的スムーズにできるということです。ほとんどがインターネットで行われています。日本はどうですか

小 予約受付開始に合わせて一斉に電話をかけたり、ネットに接続するので、すぐにパンクして接続不能になるという問題が各地で起きました。実際、千葉に住む私の姉は1週間、電話がつながらないので、市役所に直接行って予約したといっていました。韓国では、スマートフォンに地元自治体から65歳から70歳までの人はいついつまでに予約するように何度も一斉のエリアメッセージが、予約受け付けのURL、インターネットアドレスがスマホに表示されます。それをクリックするだけで受け付け画面につながり、病院を選び、日付を選択するだけで簡単に予約できます。

私の自宅は東京町田市ですが、住宅地のあちこちに災害広報無線というスピーカーが設置されています。予約開始の3日ほどまえからそのスピーカーから、ワクチンは十分あるからあわてずに予約するよう呼びかける放送が流されました。アナログもいいところですよね。

韓国はそういう風景は見られません。 韓国はオンライン化が整っていることに加えて、国民には住民登録番号、外国人にも外人登録番号が振りあてられているので非常に個人の特定がしやすくなっています。

さらにネットが苦手という高齢者には居住地区の担当者が高齢者世帯を回り、予約手続きの手伝いなどをしてきたので、高齢者も予約に関して大きな混乱は起きていません。

小 日本の場合、とにかく各自治体から接種券が送られてきて接種券番号がないと予約ができません。各自治体に対応が任されているために、全国的に統一された手続きやシステムが構築できないというのが、大きな問題です。東京と大阪に自衛隊による大規模な接種会場が設営され、一日1万人以上の接種が可能になっていますが、そうした大規模接種会場と地元自治体の個別接種の両方に予約できてしまうという、そういう二重予約をチェックすることもできないというのは問題です。ただ自治体に対応が任されているということは、自治体ごとに柔軟な対処もできることにつながり、人口の少ないお年寄りの接種が完了した町や村では、12歳の子どもを含め一般住民への接種を始めたところも数多くあります。

韓国では防疫当局が位置情報、住民登録番号、診療記録、出入国記録、クレジットカードの取引記録、公共交通機関の使用記録、そして防犯カメラの映像まで7つの個人情報を活用することができます。ワクチン摂取に関してもこれが役にたっているようです。

小 日本では、そうした個人情報の活用は国民総背番号制につながるとして批難の対象となります。韓国では、地元の民間の医療機関のほとんどがワクチン接種に参加しているようですが、日本では、かかりつけ医が担当するといいながら、民間の医療機関がすべて参加しているわけではありません。その代わり公民館や公共施設をつかった大規模な接種会場が各地に設けられ、そちらのネット予約はスムーズに行なわれています。当初は打ち手の医師の確保が課題になっていましたが、いまは歯科医や薬剤師、救急救命士も参加するなど人の確保が問題だという話は聞こえてきません。さらに今後、各企業ごとに置かれている産業医が、従業員とその家族の接種を担当し、各大学が学生の接種を担当するようになれば、接種は若い人を含めて急速に進展するものと思われます。

韓国では防疫全般に多数の医務兵や公益勤務要員が投入されており、そういう面では日本の自衛隊以上に活躍していると思います。また韓国IT企業の活躍も見逃せません。韓国の大手ポータルサイト「ネイバー」と、代表的なメッセンジャーアプリ「カカオ」はこれまでにもマスクアプリやQRチェックインなどの技術を開発しましたが、今度は残余ワクチンが発生した場合にアプリでそれを確認し当日の接種予約も可能なシステムをわずか2週間で作り上げました。

小 その残余ワクチンが分かるシステム、本当にすごいですよね。日本では、感染者の集計も去年の初めころにはファックスで通知していたとバカにされましたが、いまも各地の感染状況の詳しい分析は、各マスコミが独自に集計しているようです。

スマートフォンの普及率が93.1%の韓国なので、若者だけでなく中高年層までその活用には慣れているのだと思います。また政府の打ち出したワクチンインセンティブもワクチンの接種率を上げている原因だと思います。5人以上でも集まれる、海外に行ってきても2週間隔離されないなど、やはり魅力的な内容だと思います。ただ韓国の場合、問題は今後ワクチンの量を確実に確保できるかだと思います。

小 そのワクチンですが、日本の場合はファイザー製が多く、2回目の接種まで最短で3週間という期間を置くだけですが、韓国の場合、アストラゼネカ製だと2回目の接種まで11週から12週の期間を置く必要があり、実際に私の場合、2回目接種は8月21日です。日本の私の家内の場合は、1回目は6月25日で私より20日も遅いですが、2回目は7月中旬で、私より1か月以上もはやく、接種を完了します。その意味では日本での接種完了は意外とはやいかもしれません。いずれにしても、日本も韓国も早く接種が進み、マスクの取れる日が一日も早く来ることを祈りたいです。

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