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第311話  農活について
夏休みに、大学生たちが農村に赴き、農家の手助けをするボランティア活動をすることを農村活動、略して農活といいます。

農活の歴史は長く、そのルーツは1920年代の農村啓蒙運動に遡ります。1970年代から90年代は、反政府運動の一環として、農村社会を構造的に変えるべきだという使命のもとに行われ、お酒を酌み交わしながら、夜通し、社会問題や農村の問題について討論し合うのが常でした。警察の監視もありました。

そうした農活はだいぶすたれていましたが、ここにきて復活しています。大学ごとに農活での志願者が増えているのです。もちろん政治問題の討論などはなく、純粋なボランティアになっています。お酒も飲みません。農作業の途中でおやつとしてマッコリを飲む風習があり、かつては学生たちにもマッコリが振舞われたりしましたが、いまでは果物などが出されているそうです。その日の作業が終わってからもお酒を飲むことはありません。大学側が農活での飲酒を固く禁じている上、学生たちも、お酒を飲んだら翌日の農作業に支障が出ると考えているからです。

大学生の農活への参加が増えているのは、まず、成績に関連したインセンティブがあるからです。大学側は農活に参加した学生に、ボランティア点数を与えています。ボランティアを卒業に必要な要件として義務付けている大学が多いですし、たとえばボランティア何時間で1学点という決まりがある大学もあります。

それに大学が農活を主管しているのも、参加する学生が増えている要因になっています。学長や大学の職員が同行して学生の安全を支援する場合もありますし、大学が貸し切りバスの費用や衣類、雨具、長靴などを提供するところもあります。

他にも、農作業だけでなく、農村の建物の塀に絵を描いたり(美大生)、農村の人たちに対する健康チェックや無料診療(医大生、看護学生)などのボランティアが行われるなど、農活の形が多様になっています。

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