自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
世界的なビデオアーティスト、ペク・ナムジュン氏(白南準、1932~2006) ナムジュン・パイク)の作品の保存や修復が美術界の懸案となっています。
国立現代美術館果川(クァチョン)館に展示されている作品『The More the Better(ザ・モア ザ・ベター)』がその発端となりました。これは1003台のテレビが使われている18.5メートルの高さのビデオタワーで、1988年に設置されました。その後30年間でモニターなど施設の老朽化が進んだせいで、去年2月に電源を切り、そのまま放置されている状態です。この作品はペクさん自身が寿命を8万時間と予測していたということです。2003年にモニターをすべて新しいものに替えるなど、その間9回修理が行われましたが、結局電源が切られました。他の作品も同じような問題から電源が切られているか、時間制限を設けた上で展示が行われています。
作品のほとんどが、生産が打ち切られたブラウン管テレビでつくられているので、新しく取り換えることもままならないのが実情です。全国の古物商や海外、遠くアフリカから必要な部品などを調達していますが、その在庫も底をついています。ブラウン管を平面LCDに代えようという声も上がっていますが、制作された当時の造形美を損なうという反発もあるそうです。
こうした中、ペク・ナムジュン氏の『世紀末II(Fin de Siècle II)』が修復され、ニューヨークのホイットニー美術館で「復活」しました。世紀末IIは207台のテレビからなる作品で、1989年にホイットニー美術館で最初に公開されました。修復に携わった関係者によると、再設置ではなく「復活」だということです。この作品は公開された翌年、ハワイに住むコレクターの手に渡り、1993年にホイットニー美術館に寄贈されたということです。作品は屋外に置かれていたため部品などがさびていた状態で、2012年から修復作業が始まりました。作品に合うブラウン管テレビや部品を世界各地から集め、テストするだけで5年かかったといいます。ここでもやはり生産が打ち切られたテレビを買い求めようと世界中のメーカーにあたり、結局もとのものともっとも類似したブラウン管や部品を確保し、145台を取り換えたそうです。
去年8月からはテレビの映像をプログラミングして207台のモニターをすべて調節しなおし、きちんと再生されない映像についてはペク・ナムジュン氏側(Nam June Paik Estate)の関係者に見てもらい、アーカイブと照らし合わせて、きちんとした映像が出るようにしました。こうした修復作業は、海外美術館を支援する事業として韓国国際交流財団が支援したもので、他のところに展示されている作品で修復作業が行われるうえで手本になるのではないかとみられています。
2024-03-21
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