自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
韓国の子供たちは中学生くらいになると受験勉強一筋で、クラブ活動や放課後などに運動をする姿をあまり見かけません。それでも男子たちは休み時間に校庭でサッカーやバスケをしている姿を見かけますが、では女子はどうでしょう。
たとえばソウルに住む、典型的な高校1年生のAさんは
「学校は家から歩いて10分、往復20分の通学が唯一の運動と言えば運動です。体育の時間にも主にベンチに座っていて身体を動かすことはありません。そして汗をかくのが何より嫌なんです。ダイエットは食事をしないダイエットです」
と話しています。
小学校の高学年以後、女子生徒たちはだんだんと運動量が減少し、高校生くらいにそれがピークに達します。
保健福祉部が去年の6-7月に全国の中学1年生から高校3年生までの6万人を調査した結果、女子の中で1日に1時間ずつ週5日以上運動する人は全体の7%で男子の20%の3分の1でした。韓国の青少年の放課後の運動量は OECD(経済協力開発機構)の中でも最低です。
ではなぜ青少年になると、特に女子は運動をしたがらないのでしょうか?取材をしてみると彼女たちは一様に「運動が嫌いだから」とこたえます。
中学1年生「参考書が7冊もはいった塾のカバンを持って歩くのが唯一の運動です。これだけでもうくたびれてしまいます」
また青少年らしいこんな声もありました。
中学3年生「中学生になりだんだん胸が大きくなってきたので、運動して走ったりするときに胸が揺れるのが恥ずかしくて、だから運動しません」
女子生徒たちの運動不足が慢性化し、悪影響も続出しています。研究によると10代の女子生徒のビタミンDの欠乏率が同じ年齢の男子生徒の1.7倍に達し、女子生徒の33.6%がうつ病を経験したことがあるといいます。
しかし専門家は「運動の面白さを経験すれば女子生徒もいくらでも運動をするようになる」と言っています。テグにある慶北女子校では昼休みに講堂で数十名の女子生徒たちがテニス、バトミントン、卓球をしています。この高校では10年前から体育のカリキュラムを大幅に変更しました。生徒たちは1年生ではゴルフとキックボール、2年生ではテニスに卓球、3年生になるとバトミントンを学びます。ヘルスパーティ、放送ダンスのような放課後のプログラムも充実させました。この学校の1年生は
「中学の時には体育の時間にはベンチにだけ座っていました。今は体育の時間が楽しいです」
と言っています。そしてこの学校の体育の先生は
「1週間に3回50分間、朝の運動をさせたら、低体力の生徒の比率が5ヶ月間で10%から4.5%に減りました。身体を動かすと疲れるのではなく、脳が活性化されて集中力もアップしました」
と語っています。
運動をするのは体育系の大学に行く子か、それこそプロを目指したり、オリンピックを目指すエリートだけ。その他の大部分の子供達は運動の楽しさ、身体を動かす楽しさを知らずに青少年期を過ごしてしまいます。運動をするのはエリートだけ。その狭い環境が、最近相次いでいる体育会のコーチによる性暴力事件の背景にあるのかもしれません。
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