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ライフスタイル

第489話 老舗の食堂と再開発

#アジュンマの井戸端会議 l 2019-01-24

玄海灘に立つ虹

ⓒ KBS News


ソウルでは再建築や再開発が進んでいるところも多いのですが、最近話題になっているのは老舗の食堂に対する扱いです。

食堂がある地域の再開発で、食堂を残すべきだ、つまり再開発をやめるべきではないかという声が上がっているのです。


この問題は、ソウル都心の乙支路(ウルチロ)に乙支麺屋(ウルチミョノク)という食堂があるのですが、その食堂一帯で進められていた再開発計画を、1月16日、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が、「伝統を生かす方向で全面的に見直す」と発言したことで表面化しました。乙支麺屋を保存すべきだという主張に対して、朴市長が見解を表明したものですが、その一帯の再開発の計画はソウル市が14年間進めてきたもので、すでに撤去に入っているところもあります。そうした再開発事業の見直しが言及されたわけです。


それにもう一つ考えるべき問題があります。この地域の住民が再開発を切実に望んでいることです。この地域にある住宅もビルもとても古く、環境の改善が望まれてきました。「老舗の食堂を残すことが、14年間にわたる住民の願いより優先されるのか」と住民たちは強く反発しています。再開発に反対する市民団体は「建物自体を残すのが老舗を残すことだ」として、店舗の撤去に反対しています。老舗の食堂を評価するとき、食堂のメニューだけでなく、その空間が感じさせる歴史性や象徴性も基準になるという立場です。


老舗の食堂は、流行に敏感な若い世代にも人気です。1946年創業の又来屋(ウレオク、平壌(ピョンヤン)冷麺)、1952年創業のムンファ屋(ソルノンタン)などには、特に週末は若者たちが多く訪れているということです。流行の移り変わりが早い、できたてのレストランより、何十年も愛されている老舗の食堂に真の魅力を感じているようです。そしてそうした若者たちは、乙支路一帯の再開発に反対しています。「再開発を中断し、その一帯を文化特区に指定すべきだ」と主張しています。


しかし不動産や飲食業専門家らは、「近代建築物に指定されたわけでもない乙支麺屋の建物が、住民たちを犠牲にしてまで残すべき価値があるのか疑問だ」、「乙支麺屋の場合は老舗というには歴史が浅いし(1985年創業)、韓国料理専門店の韓一館(ハニルグァン)のように、他の地域に移ってからも繁盛している食堂もある」などと話しています。

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