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ライフスタイル

第491話 韓国作家の推理小説に乞うご期待

#アジュンマの井戸端会議 l 2019-02-07

玄海灘に立つ虹


韓国で海外の推理小説の市場がどんどん拡大しています。

去年韓国の小説市場では、日本の小説のシェア(31%)が韓国の小説のシェア(29.9%)を初めて上回りましたが、それが東野圭吾さんと薬丸岳さんの活躍によるものだと分析されています。


韓国の大型書店「キョボ文庫」によりますと、去年2018年の総合ベストセラー30位のうち、小説は7冊で、このうち推理・スリラー小説が5冊、その5冊はすべて日本の小説でした。成均館(ソンギュングァン)大学国文科のパク・チニョン教授は「韓国では東野圭吾や宮部みゆきなどの社会派の推理小説の人気が特に根強い」としたうえで、その理由を「いじめやヘイト(嫌悪)などの社会問題を扱っていて、韓国の読者が痒いところに手が届くような満足感を得ることができるからだ」と分析しています。


東野圭吾さんの韓国での人気については番組でも何度もお話ししましたが、薬丸岳さんは、特に『誓約』という作品が韓国のSNSで話題になり、ベストセラーになったといいます。日本では2015年に刊行され、韓国語の翻訳版は2017年2月に出版されています。出版社の関係者は「韓国では抒情的で美しい文体を重視するあまり、推理小説は「商業的だ」と無視されてきたが、ドラマや映画で推理モノやスリラーが増えたことでそれに親しんだ読者が増えている」と話しています。


こうした流れからか、韓国国内で推理作家を育成するための動きも起きています。出版社「ヒューマンアンドブックス」では今年から、推理小説シリーズの「H&Bスリラー・ミステリーコレクション」を始めます。推理小説を書く作家(新人含む)を発掘して、このシリーズで毎年3冊から4冊ずつ出版することを目標にしているということです。この出版社の代表は「韓国的な大衆小説を育てていくべきだ」と話しています。


ちなみにシリーズ第1作は延世大学国文科教授ユ・グァンス氏の「シングルモルトの男」に決まっています。パニック障害を患う元刑事と韓国軍の機務指令部の要員が、相次ぐ殺人事件の真相を解明するというストーリーです。ユ教授は「日本ではだいぶ前から純粋文学と大衆文学の境目がなくなってきている」として「韓国でも文学の範囲がもっと広がらなければならない」と話しています。

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