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ライフスタイル

韓国の食卓の魚は

#マル秘社会面 l 2019-11-06

玄海灘に立つ虹

© YONHAP News

日本の食卓を飾る代表的なお魚といえば、朝ごはんの鮭の切り身とか、夕飯のサンマ、そしてお寿司のマグロでしょうか? では韓国の食卓を飾る魚は何なのか?韓国の食卓に上る魚の変遷史がハンキョレ新聞にのっていましたので、ご紹介します。

まずは西海地域に伝わる伝説です。

「朝鮮、仁祖時代のこと、飢えた兵士のために林慶業(イム・ギョンオプ)将軍はいばらの木を海岸の水の中に刺しておきました。すると翌朝、海岸に行くと何といばらの木の枝と枝の間にイシモチが挟まっているではありませんか。これが韓国のイシモチ漁の始祖、 林慶業(イム・ギョンオプ)将軍の伝説です」

まあ実際に木の枝で魚が捕れたかは別にして、それほどイシモチが大量に捕れたということです。しかし1970年代には年間3万~4万トンに達していたイシモチの漁獲量が、40年後には半分に落ちてしまいます。またイシモチを塩漬けにして干して作る干物の「クルビ」は韓国の祭祀には欠かせないお供え物ですが、これも今では中国産が大部分になってしまいました。

そしてイシモチの次に登場したのがスケソウダラです。

東海を泳ぎ回っていたスケソウダラは1970年代には年間漁獲量が最大5万トンに達していましたが、2010年代に入ってからは1~9トン程度です。最近では市場に出回るスケソウダラの90%以上がロシア産です。さらに5年間にわたりスケソウダラの幼魚の放流などの「スケソウダラ再生プロジェクト」を推進してきた海洋水産部は、今年からスケソウダラの漁獲を年間を通じて禁止してしまいました。

1990年に国民1当たりの1日平均消費量が最も多かった水産物はスケソウダラでした。しかしその後、食卓の魚の座ははスルメイカに奪われ、さらに最近2~3年のアンケート調査では「好きな魚」第1位はサバになっています。つまり、イシモチから始まった韓国の食卓の魚はその後スケソウダラに変わり、さらにスルメイカ、サバと変身を続けています。

このような魚種の変化、その原因の一つは地球温暖化などによる水温の変化です。国立水産科学院の集計によりますと、韓半島海域の表層水温は1968年~2018年の50年間に1.23度高くなりました。同期間の全世界の水温変化(0.49度上昇)を上回る数値です。そのため、暖流性魚種のサバやカタクチイワシが大量に入ってきた一方、寒流性魚種のスケソウダラやハタハタは北上してしまい、韓半島近辺では捕れなくなってしまいました。

中国漁船の攻撃的な操業や無分別な乱獲などの影響が大きいという指摘もあります産卵もしていない幼魚を安値で売ったり生餌に使ったりして水産資源の枯渇を起こしているというのです。

昨年発行された海洋水産開発院の報告書『幼魚乱獲の実態および保護政策の研究』によれば、2016年の漁獲量のうち、幼魚の割合はタチウオが69~74%、イシモチが55%、サバが41%でした。産地価格が1万ウォン(1キロ当たり)以上にもなるほど収益性の良いイシモチなどが未成魚(幼魚)のうちに捕獲され、飼料に使われているのです。

一方で韓国は年間1人当たりの水産物消費量が2017年現在59.3キロで世界第1位です。ノルウェー、日本を抜いて世界第一の水産物消費国になったのです。そしてそれと共に、その食卓の魚の座が国産魚から、どんどん輸入物の魚に変わりつつあります。ノルウェー産、ロシア産、中国産の魚を食卓の上で見るのも今や、日常茶飯事となりました。食卓の魚の国際化、喜ぶべきか、悲しむべきか、心境は複雑です。

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