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© Getty Images Bank

ソウル市教育委員会が朝鮮族などの中国同胞が多く暮らしている九老区、衿川区、永登浦区の南部3区の小・中・高校の中で二重言語教育をしている学校を自律学校に指定して中国語を正規科目に編成できるようにするという方策を検討しています。自律学校は教育課程を授業の20%範囲内で自由に決めることができます。

また二重言語教育というのは韓国語で授業を進めるものの、科目の教師とは別に中国語など特定外国語のできる教師が教室に入り、韓国語の不自由な学生を助けてあげる方式の教育のことです。現在、ソウル市教育委員会は中国語などのできる教師130人を採用してこのような方式の授業を一部の学校で行っています。

このような状況に関して「3区を二重言語特区に指定する」という噂まで広がり、地域住民や父母会などから反発が起きています。すでに「二重言語特区指定に反対する」請願に1万1400人が今月17日現在で署名しています。そしてこれに対してソウル市教育委員会はあわてて「二重特区指定などという計画はない」と否定しています。

事の起こりは先月2日に行われた多文化教育支援センターのオープンの席上で挨拶したチョ・ヒヨン ソウル市教育監のこの一言でした。

「南部3区の学生たちが二重言語を完璧に駆使できるようにしなければならない。中国のハルピンやヨンビョンに語学キャンプを送るなど、積極的に二重言語教育を行います」

また2017年にもソウル市教育委員会は 九老区、衿川区、永登浦区の南部3区を教育国際化特区に指定して教科編成を自由に行えるようにするという案を推進しようとしましたが、やはり住民の反発にあい断念しています。

ソウル市教育委員会は中国同胞など、多文化家庭の学生が急増しており韓国語が下手で授業についていけない学生が多いので対策が必要だという立場です。

ソウル地域の小・中・高校に在学中の多文化家庭の子供たちは2014年に9831人だったのが、今年は17745人に増加しました。5年で1.5倍になったことになります。そしてそのうちの26%が今回問題になっている3つの区に暮らしています。特に小学校は中国国籍を持つ子供たちが半分以上を占める学校も少なくありません。永登浦区のある小学校は去年全校生徒445人の中で318人(71.5%)が中国人でした。

このようなことが起こる背景には中国人の子供たちが増えると、韓国人の子供たちが他の学校に転校してしまうという状況があります。

教育委員会の関係者は「二重言語教育は中国人の子供たちに韓国の言語と文化を教えるというのが基本ですが、同時に韓国人の子供たちにも中国語と中国文化を教えて互いに理解しあうようにするものです。ベトナム人の子供たちの増えている恩平区などでも二重言語教育の必要性が出てきています」と述べています。

日本でも外国人労働者が増えており、その子供たちの教育が問題になっています。韓国も同じです。それにしても外国人労働者、多文化家庭というのは主に地方のことだと思っていましたが、ソウルにも特別区の指定を考えるほどの多くの外国人が暮らしていたとは驚きでした。一方でアメリカンスクールや英語の幼稚園には高いお金を払わせてでも通わせ、子供に中国語をわざわざ学ばせる家庭もあります。お金を出さなくても中国語やベトナム語が学べる環境が作られるということは、ある意味良いことでもあるとは思うのですが。こう言えるのも周りに小さい子供がいない、他人事だからでしょうか。

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