自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
現代版ジャンバルジャンだと話題になっている社会面のニュースがあります。
今月10日午後4時頃、仁川市中区のスーパーで牛乳とリンゴ6個など食料品1万ウォンあまりを万引きしようとした親子がつかまりました。34歳の父親と12歳の男の子です。二人はスーパーの主人の通報で出動した警察官に派出所に連れていかれました。
派出所についた父親は涙を流して事情を説明し、許しを請いました。もともとタクシー運転手として生計をたてていましたが、不整脈に糖尿病、甲状腺疾患などの持病が悪化し6カ月前から仕事ができなくなり、国の基礎生活保障給付金だけで12歳と6歳の子供、そして母親の4人で暮らしているとのことでした。そのためお金がなく2日間も何も食べておらず、お腹がすいてついつい万引きをしてしまったということでした。
事情を聴いたスーパーの主人は警察に処罰はしないで欲しいと頼み、担当の警察官は親子を近くの食堂に連れていき食事をとらせました。さらに二人の話を聞いていたある市民は食事をしている二人のところに行き、さっと封筒を渡して去っていきました。封筒の中には現金20万ウォンが入っていました。
この親子の話がニュースになると全国から「こんな時代にお腹がすいて物を盗むなど、まるでジャンバルジャンのようだ」と同情する声が相次ぎ、この親子に温かい支援の手が伸びるとともに、ムン大統領まで言及しました。
スーパーの店員は「この事件のことが報道された直後から、この親子を助ける方法はないかという電話が多数かかってきて仕事ができないほどだ。親子に渡してくれと言って市民が置いていった品は親子に渡している。また支援方法をたずねる市民には行政福祉センターに連絡するように話している」と言っています。
現在この親子がもらっている、日本の生活保護費にあたる基礎生活保障給付金は最大で4人家族で138万4000ウォンです。この金額は現在の生活費や住居費などから考えると足りないものと言えます。国民年金研究院の2017年の調査結果によれば健康な老夫婦が基本的な生活を維持するのに必要な最低生活費が176万100ウォンだと言います。ですから4人家族の、この親子の場合はまさに貧困状態だということです。
ムン大統領はこの話を聞き、秘書官会議の席上で
「政府と自治体は市民の支援や募金だけに頼らずに福祉制度を通じて制度的にこの親子を助ける方法があるのかを積極的に考えてほしい」と発言しました。
韓国では現在、働き盛りの40代の失業率が増えています。こんな親子がもしかすると全国に無数に存在するのかもしれません。
2024-03-21
2024-03-14
2024-03-15