自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
歌手になるのが夢という人たち、歌手になった人でさえも、大手芸能事務所に入ることは憧れの対象でした。大手、有名事務所に所属できれば、成功が保障されると思われていたからです。実際、その確率は高かったといえます。しかし最近は大手事務所との契約を更新しないアーティストたちが多くなっています。
去年11月、2NE1の元メンバー、シーエル(CL)がYGエンターテインメントを離れ、その1か月後、イ・ハイも契約を更新しませんでした。YGを代表してきた女性ボーカル二人がYGを離れたのです。JYPエンターテインメントも同じです。去年8月にパク・ジミン、9月にペク・アヨン、12月にはペク・イェリンも契約を延長しませんでした。3人はYGのイ・ハイとともにオーディション番組の『KPOPスター』で抜擢されました。SMエンターテインメントでも、女性アイドルグループf(x)(エフエックス)のメンバーだったルナとエンバー、スーパージュニアMだったヘンリーが事務所を離れていきました。
ビッグ3と呼ばれる芸能事務所だけではありません。今月6日、IUはカカオMを離れ、12年間ともにしたマネージャーが設立した事務所と専属契約を結びました。Block B(ブロックビー)のジーコも、クラッシュも、もといた事務所を離れました。いずれの事務所も名の知られたところで、特に問題があったわけではありません。ではなぜ、離れるのでしょうか。
大手芸能事務所の最大のメリットは、資本をもとにしたキャスティング能力です。新人歌手の場合、大手事務所でなければ歌謡番組やバラエティー番組に出演するのは難しいのが事実でした。韓国の芸能界は、歌手であっても歌優先というよりは「歌謡番組→ラジオ→バラエティー」という順で出演するのが成功への近道という法式のようなものがありました。そうした番組に出演することができるのが大手事務所のパワーあってこそでした。しかし最近では地上波の歌謡番組が以前ほどの勢いがなく、ユーチューブなどインターネット上で話題になった人たちが地上波のバラエティー番組などに出演する場合が多くなりました。規模の小さな芸能事務所のビッグヒットエンターテインメントに所属するBTS(防弾少年団)がユーチューブやSNSなどを通じて世界的な人気を得たことも、「事務所の後ろ盾がなくても成功できる」ことを改めて認識させることとなりました。業界の関係者は「歌手が作詞、作曲をする能力があれば、高いお金を払って作詞家や作曲家に曲を依頼する必要がないため、大手事務所から離れていくことに抵抗がなくなる」と話しています。
大手事務所を離れて定着する先は、ほとんどの場合、独立して立ち上げた事務所か、規模の小さい芸能事務所です。この場合、自分のやりたい音楽を存分にできるから、というのが最大のメリットになります。たとえば、さきほど名の挙がった、JYPを離れ、独自の事務所を立ち上げたペク・イェリンの場合、独立してから出したアルバムのタイトル曲が、歌詞が英語の『スクエア(square)』という曲でした。これが音源チャートで首位となったのですが、ペク・イェリンの事務所によると、「韓国で英語の歌詞のKポップがチャートで首位となったのは初めて」だということです。また、「ソンバラ(ソン+バラード)」と呼ばれるソン・シギョンは11年間所属していたゼリーフィッシュエンターを離れ、2018年に自ら事務所を立ち上げています。
それにYGのように、大手事務所のリスクも存在しています。事件や事故にまきこまれ、活動が思うようにできなかったり、誰かに不祥事があった場合は同じ穴のムジナのように誤解されたりもします。所属する歌手が多いため、人的、物的支援でほかの歌手が優先される場合もあります。『プロデュース101』の初代プロジェクトグループのI.O.I(アイオーアイ)のメンバーのうち、ソロシンガーのチョンハが一番成功したのも、小規模の事務所だったためチョンハに支援が集中していたことが理由の一つだと分析されています。
大手事務所を離れている歌手が多いことについて、専門家は、「事務所に所属するとアルバムをリリースする時期も自由に決められず、気の進まない仕事もしなければならないなど自由が制限されることが多いが、事務所を立ち上げればそうした問題から自由になれる」として、「ユーチューブの影響力が高まり、音源市場の敷居が低くなったことで、事務所の役割が以前より減ったから」だと話しています。
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