自己啓発本『セイノの教え』
2024-03-21
昨日のニュースでもお伝えしましたが、2016年に韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元イギリス駐在北韓公使が4月の総選挙で最大野党の「自由韓国党」から公認候補として立候補するようです。
韓国の総選挙ではこれまでにもフィリピン出身のイ・ジャスミンさんが2012年の総選挙で当時の与党セヌリ党から立候補して当選したことがありました。また脱北者ではやはり2012年にセヌリ党から1994年に脱北した趙明哲(チョ・ミョンチョル)元統一教育院長が比例代表候補として当選しています。
しかし選挙区からの立候補は脱北者としては初めてということになります。
太永浩氏は、北韓のイギリス大使館で大使に次ぐ地位でしたが、2016年8月に、金正恩(キム・ジョンウン)体制に対する不満や、子どもの将来などを理由に、北韓を逃れ、韓国に亡命しました。脱北した北韓外交官としては最も地位が高い人物として知られています。 英国の大学で学んでいた息子が北韓に召喚されそうになった時に脱北を決意したという話を聞くと、韓国の親たちと考え方が似ているなと思ってしまいます。
また亡命後は韓国内で、北韓の金正恩体制を批判する記者会見を開いたり、本を出版したりして積極的に活動してきました。 朴槿恵(パク・クネ)政権では国家情報院の国家安保戦略研究院で諮問研究委員として勤務していましたが、現政権発足後に辞職しています。
そういう意味で北韓との対話を重視するムン・ジェイン政権には批判的な立場にある人物です。そのため野党「自由韓国党」は保守の票を集めようと、太永浩氏の選挙区からの立候補をすすめています。本人も
「私が韓国の国会議員、それも選挙区から当選すれば、北の体制と政権の維持に中枢の役割を担っている北のエリートたちと世界各地で勤務する私の元同僚である北の外交官たち、とりわけ自由を渇望する北の善良な住民が、希望にとどまらず確信を持つことになるだろう。 韓国の誰より北朝鮮の体制と政権を深く知っている。こうした経験と専門性を基に、韓国政府の統一政策が無条件の援助、または対立の構図でなく、自由民主的な基本秩序に立脚して南と北の真の平和統一を目指す現実的な統一政策、国民誰もが共感できる真の統一政策が立案、実践されるようにする」
と述べています。今回の話が注目されるのは脱北者の立候補ではなく、脱北者の選挙区からの立候補だからです。なぜなら選挙運動自体が候補者の身に危険を及ぼす恐れがあるからです。安全保障に詳しいある専門家は
「選挙区から出馬した場合、候補者のスケジュールが公表される上に、主に人が多い場所に姿を現すようになる。脱北民出身者は北韓や親北団体から攻撃を受ける可能性があるため、選挙区からの出馬はためらう傾向がある」と説明しています。
また警護の問題でも他の候補者に比べて選挙活動が制約されます。現在も太永浩さんは警察官4人の警護を受けており、外部でのスケジュールを決める際には事前に警護の動線を考慮したうえで場所と時間を決めているといいます。
いわば命がけの立候補ともなる、今回の公認決定。どこの選挙区からでるのか、選挙運動はどうなるか、そして当選はできるのか。保守陣営のシンボルともなりそうな人物でもあり、4月の総選挙までその動向には注目が集まりそうです。
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