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ライフスタイル

第541話 被災地への「寄付」について

#アジュンマの井戸端会議 l 2020-02-05

玄海灘に立つ虹

© YONHAP News

オーストラリアで森林火災が続いていますが、オーストラリアのビクトリア州知事がこんな発言をしたことが議論を呼びました。

「こういう寄付はもうやめてください」


オーストラリアでは去年9月から火災が続いていて、寄付ならなんでもありがたく思われるのではないかとも思うのですが、要するに「もういらない」と言っているわけです。

州知事が言う「こういう寄付」とは、衣服や飲食物のことです。州知事はこう言っています。「いらないなんて、ひどいと言われるかもしれない。でもこういった寄付が、本当に助けの必要な人たちを助け、火災の鎮圧に活用すべき人材と資源を分散させている」


実は韓国でも同じようなことがありました。韓国江原道(カンウォンド)の高城郡(コソングン)では、去年4月に山火事が発生しています。そのとき、「山火事で高城の住民の衣服が燃えてしまい、困っている」として、「いらなくなった衣服を寄付してほしい」という書き込みが、SNSを通じて広まり、高城郡に、合わせて53トンの衣服が送られてきました。高城郡は人口2万7000人余りの小さな都市です。高城郡が公式に要請したのではありません。むしろ高城郡庁では、ホームページを通じて、「衣服が必要だというのは誤った情報なので、お願いだから古着を送らないでほしい」と訴えました。それでも衣服は送られてきたのです。


洋服ならいただいておけばほかの人に使ってもらえるのではないかと思いきや、こうして送られてきた衣服は「救護物品」であるため、使用できるのは被災者に限られます。そのため分類作業を経て、被災者に配られることになります。災害・救護団体の関係者は、「指定寄付品はほかの人に寄付することもままならず、使えないようなものであっても捨てるのは困難だ」として、「寄付品を他に必要なところに再度寄付できるようにする方策を考える必要がある」と話しています。53トンの衣服が送られた高城郡では、当時、ボランティアだけでなく復旧のために派遣された兵士まで、衣服を分類する作業に当たったということです。災害の復旧に努めるべき人たちが、古着の分類に駆り出され、本来の仕事ができなくなったのです。まさに、オーストラリアの場合と同じです。


災害が起きたとき、その被害を受けた人たちを何としても助けたいと思い、救護物資を寄付する人が多いのですが、「現場のニーズと関係のない物品の寄付は、被災者の力にならないだけでなく、現場の救護活動の妨げになりうる場合もある」と、災害・救護団体の関係者は話しています。

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