メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

澗松美術館-宝物を競売に

#マル秘社会面 l 2020-06-03

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

ソウル市城北洞にある個人美術館「澗松美術館」は二つの点で有名ですが、外国人観光客にはなかなか観光に訪れるのが難しい美術館でもあります。有名な理由の一つ目は1938年に設立された韓国初の私立美術館だということ、そしてもう一つはその独特な展示方式にあります。この美術館は毎年、春と秋の特別展示期間の15日間だけ開いています。つまり年間1カ月くらいしか一般に公開されていないということです。また外部への貸出も一切ありませんでした。しかしその所蔵しているコレクションはまさに国宝級です。

その国宝級のコレクションの一部が今回、財政難によりオークションに出され、結局、買い手が見つからずに終わったというニュースが先週、大きく報道されました。

この美術館は日本の植民地時代、ソウルの大富豪の家に生まれた全鎣弼(チョン・ヒョンピル)さんが、日本に持ち出されようとする韓国の文化財を守るために全財産をつぎ込んで韓国の書画、陶磁器、仏像、書籍などを収集し、そのコレクションにより作られた美術館です。朝鮮全土にたくさんの土地と家屋を所有していた全さんが白磁の壺一つを買うために、家10軒を売ったという逸話は有名な話です。

そのように彼が買い集めたコレクションは国宝や国の文化財に指定されています。韓国ドラマ「風の絵師」などの時代劇に登場する書画や陶磁器の本物がここの美術館にはあります。しかしその貴重なコレクションを目にすることができるのは、1971年から行われている春と秋の特別展の間だけで、まさに「隠遁(いんとん)の美術館」でもあります。それは美術館の建物自体が2階建ての一棟だけで老朽化し、展示会場自体も狭いためです。

現在はチョン・ヒョンピルの息子である2代目の澗松美術文化財団のチョン・ソンウ理事長を経て、3代目の孫のチョン・インゴン館長が美術館を運営しています。2014年から東大門デザインプラザ(DDP)と5年にわたる契約を結び、東大門デザインプラザでコレクションを一部公開していました。その後、現在の美術館の横に新館を建て、大邱に分館を設けるなどのプランを発表しましたが、実現には難航を余儀なくされていました。

そして先月27日、国家宝物に指定されている金銅仏像2点、宝物第284号の金銅如来立像と宝物第285号の金銅菩薩(ぼさつ)立像がKオークションに出品され、競売にかけられました。 韓国の文化財の宝庫であり象徴である澗松美術館の所蔵品が競売に出されたのは今回が初めてです。

オークションの関係者は「美術館側が外部に知られるのを嫌い、ホームページはもちろんのこと出品作の図録にも入れなかった」とし「2点を別途に紹介するカタログを約100部ほど別途に印刷し、国・私立博物館や美術館、有力な個人所蔵家に発送した」と述べていました。

競売は15億ウォンからはじまり2千万ウォンずつ上げていく予定でしたが、競売の開始からわずか3分、誰も手を挙げる人のいないまま結局、入札流れ、流札となってしまいました。当時、会場には200人余りの参加者以外にも数十の放送局のカメラと取材陣がつめかけていました。

競売前日、一部のマスコミは「ペ・キドン国立中央博物館長が企業などの後援協力団体である国立中央博物館会議の支援を受けて、競売ではなく二つの仏像を買い取りたいと言っている」と報道しました。しかし美術館側は沈黙を守り、Kオークションも出品の途中撤回はあり得ないという立場で、結局競売は実施され、買い手のないままで流札となりました。

国立中央博物館が動いているという報道により、他の美術館や個人コレクターは皆諦めたというのが流札の理由のようです。今回、世間は二度驚きました。あの澗松美術館が所蔵品を手放そうとしていると言う点で驚き、その競売が結局は買い手が出ないままで終わってしまったとまた驚きました。私もこの美術館の展覧会には何度も行ったことがありますが、本当に教科書に出ている、あの有名な芸術家の作品をこの目で見ることができました。まさに韓国の国宝コレクションです。今後の動きが注目されます。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >