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ライフスタイル

第561話 コロナ後の韓国の映画祭は

#アジュンマの井戸端会議 l 2020-06-23

玄海灘に立つ虹

ⓒ BIFAN

韓国では「~映画祭」という映画関係のイベントが、ざっと検索してみただけでも、去年6月から今年末まで、合わせて90くらいの映画祭が開催あるいは開催が予定されています。

その中で、新型コロナウイルスの感染が拡大してから行われた2つの映画祭とこれから行われる映画祭を通じて、これからの映画祭がどんな形になっていくのか、探ってみます。


まず、全州(チョンジュ)国際映画祭です。全羅(チョルラ)北道全州市で2000年に始まり、今回で21回目となります。映画祭のモットーは、独立映画、芸術映画の最前線にある作品を紹介すること。今年は5月28日から6月6日までの10日間開催されました。

今年は、開幕式には映画監督や映画祭組織委員会の関係者ら90人余りが参加するにとどまり、閉幕式は行うことができませんでした。全州映画通り一帯で行われてきたイベントやゲストを招いたイベントも行われず、観客が参加するイベントはキャンセルされました。出品作の審査は各部門の審査委員や映画監督、俳優など限られた人数のみで行われ、海外の作品と制作背景などについては、その作品の監督とテレビ会議システムを通じて説明を聴きました。制作会社と監督が許可した作品はオンラインで上映されました。OTT(オーバー・ザ・トップ)と呼ばれる、動画コンテンツや音声通話などをインターネット経由で提供するサービスが用いられました。


今年で2回目となる平昌(ピョンチャン)国際平和映画祭は、社会的距離は保つとしながらも、観客を普通に入れ、すべての作品をオフラインで上映しました。この映画祭は、去年、平昌南北平和映画祭という名称で8月に平昌と江陵(カンヌン)で開催されましたが、今年は名称と開催時期を変えて行われました。テーマも「南北と平和」だったのが、平和を追求する広い概念に改められました。出品作も韓国の短編映画だけでしたが、今年は内外の長編映画も含まれています。また去年は出品作が上映された劇場が江陵地域に集中していましたが、今年は平昌の映画館中心で、屋外での上映も行われます。コロナ対策としては、劇場に入場する際は手指の消毒と発熱チェックだけでなく、「クリーンカンウォンパスポート」というスマートフォンのアプリを使わなければなりません。6月18日から23日までの6日間、34ヶ国による96本の作品が紹介されましたが、いかにして防疫体制を万全にして感染を防げるかにも注目が集まっています。


一方、来月開催される富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭(BIFAN)は、オンラインとオフラインを並行させるという方針を打ち出しています。1997年から始まり、今年で24回目となる映画祭で、韓国映画を世界に知らしめ、低予算独立映画の国際的メッカになることを目標に、京畿道(キョンギド)富川市で開催されてきた、アジア最大級のジャンル映画の祭典です。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭とはいわば姉妹関係にあり、日本映画の上映も多いほうです。その富川国際ファンタスティック映画祭、今年は7月9日から16日までの開催ですが、映画祭で使用していた劇場8ヶ所を今回は3ヶ所に減らすなど、オフラインのイベントを大幅に縮小する代わりに、オンライン映画館を新たにオープンすることにしています。こちらもOTTを利用しますが、パソコンのみアクセスが可能です。海外の有名監督のレクチャーなどのイベントもオンラインで行われます。劇場では徹底した消毒はもちろん観客が距離を維持できるようにし、監督と観客が参加するイベントも行います。映画祭の関係者は、前例のない形式で行われる今回の映画祭が心配でありながらも、新しい映画祭のモデルとなることを期待している様子です。

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