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今週、韓国のソウル高等裁判所の判決がニューヨークタイムズやＢＢＣなどにも報道され大きな関心を集めました。何かと言いますと、 世界最大の児童ポルノサイト「ウエルカム・トゥー・ビデオ」の運営者、ソン・ジョンウに対し、ソウル高裁が6日、アメリカからの犯罪人引き渡し要求に応じないことを決定したからです。

ソウル高裁は「犯罪人引き渡し制度の趣旨は、犯罪人をさらに厳しく処罰される場所に送ろうとするものではない」とし、「韓国がソン・ジョンウの身柄を確保し、刑事処罰権限を行使するのが望ましい」と指摘。一方で「引き渡し不許可決定は免罪符を与えるものではない。今後の捜査・裁判過程に協力し、正当な判決を受けるべきだ」としました。 一方犯罪人引き渡し裁判のためにソウル拘置所に収監されていたソン・ジョンウは同日午後1時ごろに釈放されました。

イギリスや韓国、アメリカなどの捜査当局は去年10月、「世界最大の児童ポルノ取引サイト」の捜査によって合計337人を逮捕したと発表しました。このサイトはすでに2018年に閉鎖されています。ダークウェブ（暗号化などでアクセスに制限のあるインターネットコンテンツ）上のこのサイトには20万件以上の動画が掲載されており、合わせて100万回以上のダウンロードが確認されました。

イギリスの国家犯罪捜査局（NCA）によると、イギリス、アイルランド、アメリカ、韓国、ドイツ、スペイン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦（UAE）、チェコ、カナダなど38カ国で逮捕者が出ました。

「ウェルカム・トゥ・ビデオ」と名付けられたこのサイトは韓国で運営され、児童虐待にかかわるコンテンツを掲載しており、掲載されていたコンテンツは8テラバイト、動画にして数百・数千時間分にもなるといいます。

ソン・ジョンウはすでにこの件で2018年3月に逮捕され、一審では懲役2年、執行猶予3年、二審で懲役1年6カ月を言い渡され、上告せずに刑が確定。4月27日に刑期を終えて出所する予定でした。しかし、アメリカが児童ポルノの流布や広告など9件の罪でソン氏を起訴し、アメリカ司法省は昨年4月にソン被告に対する犯罪人引き渡しを求めていました。児童ポルノ事件を厳しく処罰する米国へ身柄が引き渡されれば、相当重い刑罰が予想される状況でした。

今回のソウル高裁の「アメリカへの犯罪人引き渡しの拒否」という判決に対して海外のメディアが高い関心を見せ、批判的な反応を表しています。

アメリカのニューヨークタイムズは「ソン・ジョンウのアメリカ司法当局への引き渡しは、性犯罪の抑制にプラスになると期待していた韓国の児童ポルノ反対団体は、今回の判決で大きな失望を抱いた。ウェルカム・トゥ・ビデオから児童ポルノをダウンロードしていた一部のアメリカ人は懲役5年から15年の重刑を受けた半面、ソン・ジョンウはわずか1年半で釈放されてしまった」と報道しています。

またイギリスのＢＢＣ放送もこの件について「韓国の活動家たちはソン・ジョンウが韓国よりもさらに処罰の重いアメリカに引き渡されることを裁判所に求めてきた。韓国の検事たちはお腹が空いて卵18個を盗んだ男性に18カ月の刑を求めているが、今回世界最大の児童ポルノサイトを運営していたソン・ジョンウに対してもそれと同じ18カ月の刑を求めたに過ぎない」と皮肉っています。

韓国では2018年から「ウェルカム・トゥ・ビデオ」の利用者に対する捜査が行われましたが、大多数の利用者は起訴猶予、罰金刑水準の処罰しか受けていません。イギリスとアメリカでは合計337人が逮捕され、イギリスでは児童ポルノを流布した人間には懲役22年、ダウンロードとアクセス視聴1回で70カ月の保護観察と懲役10年の刑が言い渡されています。アメリカでも児童ポルノを入手して所持していたとして5年の刑が言い渡されています。

両国に比べて韓国ではこのような犯罪に対する刑が軽すぎるということが、今回改めて海外のメディアの報道を通じて確認されたことになります。また青瓦台の国民請願ウェブサイトには裁判長を務めた裁判官を最高裁判所の裁判官候補から外すべきだとの請願があり、わずか5時間余りで15万人が同意しています。今回、この報道を受けて二つ驚きました。一つ目は世界最大の児童ポルノサイトを運営していたのがわずか24歳の韓国人男性だったこと、そしてこのニュースを今回のＢＢＣやニューヨークタイムズの報道があるまで、私自身、全然しらなかったことです。