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ライフスタイル

大韓航空のアシアナ航空買収

#マル秘社会面 l 2020-11-18

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

今週、日本でも報道されたように大韓航空によるアシアナ航空買収が正式に発表されました。政府の後押しを受けて、韓国産業銀行が大韓航空の持株会社である韓進KALにおよそ8000億ウォンの支援資金を拠出し、大韓航空はその金でアシアナ航空を買収するというものです。

このニュースが流れた直後にアシアナ航空の株が暴騰し、株式市場全体の株価が跳ね上がるなど、すでに大きな影響が出ています。そこでこのニュースをいろいろな角度から見ていきたいと思います。

  1. 大韓航空とアシアナ航空の合弁は二つの航空会社だけではなく、LCC市場の再編にもつながります。両社が合併することでその傘下の LCC3社(ジンエアー、エア釜山、エアソウル)も一つになり、巨大LCCが登場することになるからです。韓国市場はこれら3社と済州航空、ティーウェイ航空、イースター航空の6社が競争を繰り広げてきましたが、今年3月にすでにイースター航空は運行中止となっています。ということは今後は大韓航空傘下の巨大LCC1社と済州航空、ティーウェイ航空の3社になるということです。
  2. このニュースが発表されると同時に大韓航空とアシアナ航空の労働組合は一斉に反対の声明を出し、「同種業界での買収は重複人員の発生による雇用不安を招く恐れがある。労使政協議体を構成し、合併を原点から論議しよう」と主張しています。 今年6月末現在の大韓航空(1万7209人)とアシアナ航空(8797人)の正社員だけでも2万6006人です。両社は路線重複など、重なる部分が多いため雇用不安の声は当然聞こえてきます。しかし産業銀行は「重複人員は1000人程度と推計しているが、自然減少人員や新規事業に必要な人員などを考慮し、人為的な構造調整は行わないという確約を韓進KALにしてもらった」と語っています。
  3. 今回のニュースに消費者は、両社の重複路線が削減されることになれば、それだけ便数が減るので消費者にとっては選択権が減り不便になり、さらに巨大航空会社の誕生で航空料金の値上げにつながるのではないかという憂慮の声が上がっています。これに対して国土交通部の担当者は
    「運賃に関しては政府が検討し、認可を出すので急激な運賃の上昇はあり得ません」と言っています。また両社のマイレージにも関心が集まりますが、合併されればマイレージシステムも統合されることになります。その際に同等の割合で統合されるかは不透明です。それは市場での価値が大韓航空のマイレージの方が大きいからです。そのため1対1の比率での統合は難しいとも言われます。どちらにしても今後もマイレージの使用には問題はなさそうです。
  4. 「ナッツリターン」など大韓航空のオーナー一族はいろいろと社会的に物議をかもしてきました。そういうオーナー一族を政府と産業銀行は支援するのかという声も聞こえてきます。これに対して産業銀行は「今後は産業銀行が直接株主としてこの合併作業に直接参与し、オーナー及び経営陣から責任経営の意思を引き出すと共に、健全な経営が行われるように監視者としての役割を果たしていきます。またオーナー一族の倫理経営を監督するための倫理経営委員会を設置運営する計画です」と話しています。

大韓航空とアシアナ航空は先月時点でそれぞれ航空機164機、79機を保有しています。大韓航空がアシアナ航空を買収すれば、航空機243機、資産40兆ウォン(約3兆7800億円)を保有する世界10位圏内の巨大航空会社が登場することになります。政府はこれで韓国は世界トップ10の航空会社を持つことになるとバラ色の未来を描いているようですが、それでなくても新型コロナウイルスで航空業界は世界的にも大きな危機に直面しています。この危機の時代に巨大航空会社を誕生させることが果たして吉とでるのか、凶とでるのか、まさに国を挙げての大賭博だと私には感じられます。

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