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ライフスタイル

新型コロナ禍に対する韓日市民の反応

#マル秘社会面 l 2021-01-06

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

時事週刊誌『時事IN』とKBSは去年の5月と11月に新型コロナウイルスと関連した230項目にわたる質問紙を作成し、それを1000人の市民に答えてもらいました。11月に行われた2回目の調査の際には、同じ質問を日本の楽天インサイトを通じて1000人の日本人にも実施しました。すると新型コロナ禍における韓国人と日本人の考え方の違いが見えてきました。

一番大きな差が生じたのは、今回のコロナ禍に際して影響を受けた集団に対する支援に関連したものでした。その集団とは、「小規模事業者(自営業)」「非正規職労働者」「青年失業者」「中小企業」などで、これらの集団の損失を政府が積極的に支援すべきかという質問に対する答えです。

日本では圧倒的に多くの人々が政府が積極的に支援すべきだと答えていました。小規模事業者に対しては72%が、非正規労働者には69%が、中小企業には66%、青年失業者には56%が政府の積極的な支援が必要だと考えていました。

それに対して韓国では日本に比べると低い数字が出ていました。小規模事業者には45%、非正規労働者には44%、青年失業者には35%、中小企業には30%が政府が積極的な支援をするべきだと答えました。

ただしこの数字は11月の調査の際の数字で、5月の調査では韓国人はそれぞれ50%程度の数字を示しています。とにかくどちらにしても日本人に比べると、韓国では政府が支援すべきだと考えている人の数字が低いことが分かります。それも新型コロナという災難に当たり、時間がたてばたつほどそういう傾向が強くなっています

これに対して『時事IN』はいろいろな分析をしています。

1997年の通貨危機の際に韓国人は自ら「金集め運動」を初めて、国家の危機を自分たちの手で救おうとしました。しかし危機が長引き、大規模なリストラ、雇用の氷河期が訪れ「忘れられた世代」が登場します。この時の経験が韓国人に一度脱落したら共同体は彼らを救済しないという教訓を生んだというのです。世論調査専門家のチョン・ハンユル韓国リサーチ専門委員は「通貨危機以後、一世代の間に『各自図生(각자도생)』が韓国の時代精神になった」と言っています。

『各自図生』というのは各自が生き残る方法を探るという意味です。これはその後登場するこんな流行語にも表れています。「나만 아니면 돼!」これはバラエティ番組の中でよくつかわれる言葉ですが、罰ゲームに当たらなければ、自分さえ当たらなければ良いという意味です。

ソウル大学社会学科のチャン・ドクジン教授は「今回の調査で韓国人の支援に対する意識が低く、新型コロナに対する恐怖も日本よりも強いことが分かります。韓国人が危険に対してより敏感だという傾向は新型コロナ以外にも一貫して見られます。例えば狂牛病などに対しても他の国よりも敏感です。韓国は危険に見舞われれば誰も助けてくれない、各自図生の国なので、危険には敏感、他人への支援には消極的だと言えます」

そしてこれは一方では韓国人は日本人よりも防疫に対してより積極的に賛同するという結果を生みました。今回の調査を総括したソウル大学社会学科のイム・ドンギュン教授はマスクに対する態度でも興味深い傾向を見つけました。マスクをする理由としていろいろな文章を示し、それに同意するかを調べました。その中にこんな文章がありました。「マスクをしないと、周囲の人から非難の視線を浴びるから」この文章に同意する人ほど、支援への同意が低かったということです。

社会的な圧力が韓国人の積極的な防疫参与の有力な理由だという説明です。そしてこの社会的な圧力に強く共感する人ほど、被害者に対する連帯意識は低かったと指摘しています。日本よりもはるかに厳しい、隔離体制や社会的な距離の確保などの背景にもこのような意識があるようです。

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