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ライフスタイル

新型コロナワクチンの注射器

#マル秘社会面 l 2021-03-03

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

ムン・ジェイン大統領は先月18日、新型コロナのワクチン接種用の注射器を生産するメーカーを訪れました。この会社は全羅北道郡山にある中小企業です。この会社で生産されているのは、1個のワクチンで5人を接種する一般注射器とは違い、残量を減らして6人まで接種できる「最小残余型(ローデッドスペースタイプ)」の注射器です。

ムン大統領は取材陣に対して「診断キットに続いて、K防疫の優秀さをまた確認できた」と誇らしげに述べました。この会社で生産した「最小残余型」の注射器はアメリカの食品医薬品局FDAの承認も得ており、現在20カ国から購買申込が殺到しているということです。

そしてワクチンの接種が本格的に始まりました。ところがここに来て、この注射器が妙手か悪手かという論争が起きています。医療界から「政府がワクチン接種の回数を増やそうと冒険すれば、ワクチン汚染や大量感染問題が浮上する可能性もある」と懸念の声が上がっています。

防疫当局は27日、 「ワクチン1瓶あたりの接種勧告人数を接種した後、ワクチンが残れば廃棄するが、最小残余型注射器を使用すれば、残ったワクチンで追加接種が可能だ」という内容の公文書を送りました。

通常、新型コロナのワクチンは1瓶に接種定量よりも少し多めにワクチンが入っています。生理食塩液で希釈して使うファイザー社製ワクチンは1瓶あたり原液0.45ミリリットル、生理食塩液希釈を含めて合計2.25ミリリットルになります。1回の接種に0.3ミリリットル使うので、計算上は7.5回分の接種となります。しかし、ファイザー社は6回の接種を推奨し、韓国食品医薬品安全処も同じ条件で許可しました。

また1瓶に6.5ミリリットル入っているアストラゼネカ社製ワクチンの1回接種量は0.5ミリリットル。計算上は13回分接種できる量が1本に入っていることになりますが、アストラゼネカ社は10回の接種を提示しています。

しかし韓国企業が開発した注射器を使えば、接種時のワクチンの損失を最小限に抑えるため、1瓶あたりファイザー社製なら1回分、アストラゼネカ社製なら1-2回分、さらに接種できる量のワクチンが残り、「これを使用すればいい」というのが政府の考えです。

国立中央医療院では「27日にファイザー社製ワクチンを接種してみたところ、ほとんどが1瓶あたり1回分の接種量である0.3ミリリットル残っていた」「(韓国の注射器での接種に)熟達すれば、残りのワクチンでも追加接種が可能だろう」と関係者が語っています。

しかし医師の間からは「例えば、ファイザー社製ワクチン1瓶に1回分の接種量に若干足りない0.28ミリリットル残った場合、不足量を満たすため、ワクチンを入れた注射器を使って、新たな容器からもワクチンを抽出すれば、汚染が生じて困難な状況が発生する可能性がある」「万一、汚染問題が発生した場合、ワクチン接種率は大幅に下がるだろう」という声がでています。

日本では国の要請により大手医療機器メーカーが、この6回接種できる特殊な注射器の増産に向けて体制の整備を急いでいるという報道がありました。

結局、「最小残余型(ローデッドスペースタイプ)」の注射器自体には問題がないものの、それを扱う人間の方にミスが生じる可能性もあり得るということのようです。新型コロナウイルスは病気自体も人類が初めてお目にかかった病気なので、それに対処するワクチンも注射器も何もかもが初めて。一日も早く感染拡大を止めたいものの、何もかもが初めての事、慎重な意見が出てくるのも当然かと思います。

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