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ライフスタイル

第635話 『雪降花』に批判の嵐

#アジュンマの井戸端会議 l 2021-12-21

玄海灘に立つ虹


JTBCドラマ『雪降花(邦題:スノードロップ)』が、歴史を歪曲したとして批判を浴びています。


このドラマは、軍事独裁政権下だった1987年、全国で民主化運動が激しく行われていたさなか、女子大の寮に突然飛び込んできた血まみれの男スホと、スホが反政府デモをしていて逃げてきたと思い込みスホを助けた女子大生ヨンロが恋に落ちるというラブストーリーです。実はスホの正体は北韓から潜入していたスパイという設定です。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』でブレークした俳優のチョン・へインと、演技初挑戦にしてヒロインを務めるキム・ジス(BLACKPINKのジス)の共演ということで、制作初期から大きな話題をさらっていました。有料サービスのディズニープラスで、12月19日から第1話が配信されています。


実はこのドラマは、今年の春にシノプシスの一部がネット上に拡散し、その内容からすでに批判が起きていました。スパイと女子大生の恋物語という設定に、「民主化運動を軽んじている」、「北韓のスパイを美化している」という批判の声が上がり、制作サイドが「そういうドラマではない」と強調し火消しに努めましたが、12月18日と19日に1話と2話が放送されてから、そうした批判はかえって強くなっています。


たとえば第1話では当時の情報機関、安全企画部の要員に追われているスホの姿が描かれましたが、「北韓から潜入してきたスパイが堂々と動き回っているというのに、学生たちはデモにうつつを抜かしている」というのが、民主化運動を弾圧した当時の軍事政権の論理で、その論理を思い起こさせる設定だというのです。


12月19日には青瓦台のホームページに設けられた「国民請願サイト」にこのドラマの放送中止を求める書き込みが掲載され、20日の時点で26万人余りが同意を示しています。民主化運動をしている兄がいるヨンロが、スホが反政府デモをしていて安全企画部に追われていると思い込み、彼を窮地から2度救い出すのですが、その理由として、「私の兄もデモをしていてつかまった。誰かが助けてくれていたら兄はつかまらなかっただろう」とヨンロに言わせています。しかし、その書き込みには、「民主化運動当時、スパイの濡れ衣を着せられた犠牲者が実際にいる上、その遺族の悲しみが今なお癒えていない現状で、このような設定でドラマを放送する理由が分からない」とあり、「民主化運動の価値を損なうドラマの放送は当然中止されるべき」と書かれています。


一部では、「主人公の男女が実際に民主化運動に参加した学生として描かれてはいない」として、「このドラマが民主化運動の価値を損なったと断定するのは早計ではないか」という指摘も出ています。しかし専門家らは、「民主化運動に身を投じていた学生たちがいわゆる「パルゲンイ(日本語でいわゆるアカの意味)」と呼ばれていた時代の痛みが、女子大生とスパイの恋愛感情を盛り上げる素材に使われている」として、このドラマの方向性に懸念を示しています。


ドラマ評論家のコン・ヒジョンさんは、「誤解の余地があるドラマが、世界的に人気のあるKPOPアイドル出演でディズニープラスという世界的な動画サービスで流通している」と指摘した上で、「海外の視聴者に、南北が対峙している現在の状況がそう深刻でないと受け止められるのではないか」という見解を示しています。


大ヒットドラマ『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』の監督・脚本が再びタッグを組み、しかも、キム・ジス&チョン・へイン主演ということで、日本でも注目されていると思われるドラマですが、韓国ではすでにスポンサーの一部が撤退するなど、放送初期から危機にさらされています。 

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