メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

満5才から小学校へ

#マル秘社会面 l 2022-08-03

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

先週の金曜日、7月29日に 朴順愛(パク・スンエ)社会副首相兼教育部長官は記者会見で「2025年から4年間で段階的に小学校の進学年齢を引き下げる」と発表しました。小学校への入学年齢を満6歳から満5歳にひき下げ、中学・高校と大学入学・卒業年齢も1年ずつ前倒しにし、早めに社会に進出させるという内容です。


政府計画では2025年には5歳児のうち1~3月生まれが小学校入学の対象になり、26年には1~6月生まれ、27年には1~9月生まれ、28年にはすべての5歳児が小学校に入るという方法です。 今回の発表通り小学校の進学年齢が下がれば、1949年に教育法で国民学校の進学年齢を満6歳と規定して以来、76年ぶりの変化となります。

ではなぜこのような政策が出て来たのかと言うと、小学校への入学年齢を満6歳から満5歳に下げ、中・高校と大学入学・卒業年齢も1年ずつ前倒しにし、早めに社会に進出させるためです。大統領室関係者は 「韓国のように超少子化の国では、生産可能人口を早く確保するためにも当然必要なこと」だとし、「教育界で長い間議論されてきた内容を、教育部で再び積極的に推進するという趣旨」だと述べています。


しかし今回の発表があるとすぐに父母と教育団体から激しい反対の声があがりました。

産業人材育成ばかりに偏った政策で、幼児の発達状態や子どもの世話の空白を考慮せず、社会的議論のない意思疎通不在の行政だというものです。

教育相の発表のあった翌週の8月1日には大統領の執務室まえで父母や教員が参加する抗議集会が開かれるなど、その反応は迅速で強烈なものでした。


その反対の声を拾ってみると

満5歳が小学校に適応できるかという発達過程に対する研究と考慮がない

競争と私教育(学習塾など)が強化される可能性がある

大統領の公約や政権引継ぎ委員会でも議論されたことのない政策だ。


特に教師の間からは

「小学生は机に座って40分間集中しなければならないが、幼児に机に座って40分集中しろというのは暴力であり児童虐待」だ

「莫大な財政投入が必要なのはもちろん、今後の入試、就職などで特定の年齢に不利益が発生する可能性がある」との声がでています。


これに対して政府内からも戸惑いの声があがりました。ハン・ドクス首相は1日パク教育相に直接電話をかけて「国民が不安にならないように、教育需要者の多様な意見に耳を傾け、それを関連政策に忠実に反映して欲しい。家庭や学校ごとに状況は違うことを格別に留意して欲しい」と述べました。

結局発表から4日目の2日、パク教育相は父母団体との緊急懇談会を開きこの席で「国民全員がイヤだという政策をどうやって推進するというのか。政策は修正し変更することができる」と述べました。今回の発表、あまりにも突然でした。これまでも教育部は政権が変わるたびに特に大学入試と関連した数々の政策変更を発表してきましたが、今回のような小学校の入学年齢を下げるという案は初めてでした。韓国社会の人口の減少と高齢化社会がその背景にはあるとはいえ、唐突な発表は反発だけ招いたようです。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >