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ライフスタイル

第670話 大韓(テハン)劇場の話

#アジュンマの井戸端会議 l 2022-08-30

玄海灘に立つ虹


大韓(テハン)劇場は、「映画の街」と呼ばれるソウル忠武路(チュンムロ)に1958年に建てられた映画館です。当時は、70mmのフィルム映画を上映できる超大型ワイドスクリーンを備えた唯一の映画館で、窓のない最初の映画館でもありました。それだけ性能の良い空気浄化施設があった、高級な映画館だったのです。


その大韓劇場が、早朝割引の時間帯を午後1時からに移したということです。早朝ではない早朝割引は、大韓劇場が営業時間を短縮したことが理由です。大韓劇場は今年2月から、営業時間を正午から夜9時までに短縮しました。そのため、早朝割引の時間が午後1時からとなったわけです。ちなみに料金は早朝平日7000ウォン、週末(金~日)は8000ウォン、普通料金は平日1万1000ウォン、週末は1万2000ウォン、大学生は平日、週末を問わず9000ウォンです。大手シネマ・コンプレックスのCGVやロッテシネマ、メガボックスなどは平日1万4000ウォン、週末は1万5000ウォンなので、大韓劇場の早朝料金はその半額ぐらいですし、普通料金も安くなっています。


大韓劇場には地下1階から地上7階までに11の上映館(2700席)があります。もともとは大きなスクリーンが一つあった映画館だったのですが、シネコンブームに合わせてリモデリングを行っています。リモデリングされてから20年以上経っていて施設は少し古くなっていますが、何より価格競争力があり、芸術映画館が設けられているので、上映される映画が多様なのが特徴です。ソウル地下鉄3号線と4号線が交わる忠武路駅に直結していて、アクセスも良いところです。


大韓劇場の周辺では、鐘路(ジョンロ)3街にあったソウル劇場と、乙支路(ウルチロ)3街のミョンボアートシネマが去年閉館し、ソウル10大劇場と呼ばれる映画館で残っているのは大韓劇場だけとなりました。伝統ある映画館の廃業は、新型コロナウイルスの感染拡大による営業不振と観客の激減、有料の動画配信サービス(OTT)の躍進など、映画産業を取り巻く環境が急激に変化したことによるところが大きいです。それに各家庭に置かれるテレビがどんどん大型化していることも、映画館の経営が立ち行かなくなった原因の一つだと分析されています。大韓劇場が早朝上映の時間を午後1時からにしたのも、そういった変化に対応し、生き残るための苦肉の策だったのではないかと推察されます。

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