メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

韓国中小企業の未来は

#マル秘社会面 l 2022-10-12

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

日本やドイツ、アメリカには創業100年を越える企業が沢山あります。 韓国の中小企業中央会によると、日本には創業100年を超える長寿企業が計3万3079社あり、米国も1万2789社、ドイツは1万73社あるということです。それに対して韓国では、創業100年以上の企業は斗山(トゥサン)、同和(ドンファ)薬品などわずか10社に過ぎません。韓国戦争があり、本格的な産業化が始まったのは1960年代からだったという点を考慮して「創業60年企業」で計算しても2018年現在で569社でした。

中小企業が大切な理由として中小企業中央会の経済政策本部長は「韓国、日本、ドイツのように製造業が産業基盤となっている国々の場合、特に中小企業の育成が重要」だとし「長期間にわたって耐えて『産業の根』の役割を果たした企業が、また別な企業や産業が発展する土台になるからだ」と述べています。

では韓国の中小企業の現状はどうでしょうか。 最近、中小企業中央会が創立10年以上の中小企業600社を対象に行った調査によると、これら中小企業が家業相続が困難な理由(複数回答)としてあげたのが、膨大な租税負担(79.8%)、政府支援の不足(29.6%)、後継者への経営教育不在(24.8%)などでした。特に相続に関する税金の高さが問題になっています。中小企業は家業相続控除制度を利用できますが、控除条件が厳格なため利用率は低い方だといいます。中小企業研究院によると家業相続控除を受ける企業は年平均80社ほどにとどまっています。中小企業研究院の研究委員は「相当数の中小企業が家業継承過程で税負担により会社をたたんだり売却する状況が発生している」と言っています。

そして企業の相続が容易でないため、中小企業の代表が高齢化しています。中小ベンチャー企業部によると、2010年までは中小製造会社代表の平均年齢は50.6歳だったのが、20年には54.9歳になりました。特に60歳以上が占める割合は2010年の13%から20年には30.7%へと2倍以上に膨らんでいます。中小のサービス・製造業へと範囲を拡大すると、60代以上のCEO(最高経営責任者)は11万8000人、70代以上は2万1500人に達します。中小企業の経営者の間では「今のように1年に100件しか家業の相続が成立しなければ、70代のCEO全員が家業の相続を終えるためには、今後200年あっても足りない計算だ」というブラックジョークも飛び交っています。韓国は、企業経営が軌道に乗り、企業価値が上昇すれば、相続税負担が雪だるま式に膨らむ構造を抱えています。そのため企業家たちは「企業をうまく経営した経営者たちが、むしろ相続では不利益を被る構造」だと言います。

韓国の相続税の最高税率は50%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国のうち日本の55%に次いで2番目に高く、OECD平均(26.6%)の約2倍です。ただ相続税だけが韓国で中小企業が長続きしない原因だとは言えないでしょう。相続税が高くても多くの中小企業が頑張っている日本との違いは何でしょうか。私には新しいもの、何かを継続するよりも、それを改革し新たな何かを作り出す方が好きな韓国の国民性が影響しているのではないかと思えます。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >