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ライフスタイル

第696話 HYBEとSM、大手芸能事務所同士の確執は…

#アジュンマの井戸端会議 l 2023-02-21

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News世界的に人気のボーイズグループ、BTS(防弾少年団)が所属するHYBE(ハイブ)が、大手芸能事務所のSMエンターテインメントの株式を取得し、筆頭株主になると2月10日に発表しました。

HYBEは今回の株式取得により筆頭株主となり、さらに少数株主が保有するSM株の公開買い付けも進めるとしています。 


SMエンターの創業者のイ・スマン氏(70歳)は、もともとシンガーソングライターでした。ただ、私の記憶では、歌手としての彼のイメージよりも、数多くのテレビ番組の司会としての姿のほうが鮮明ではあります。イ・スマン氏を有名にしたのは、ソウル大学を卒業していて、しかもアメリカの大学の修士出身という学歴も、一助となっていたのではないかと思われます。今でこそソウル大学を出ている芸能人は多いですが、当時は珍しかったからです。そんなイ氏が1995年に設立したSMエンターテインメントは、KPOPの生みの親的な企業です。1996年にプロデュースした5人組のボーイズグループ「H.O.T」は中国でも大人気となり、「韓流」という言葉を生み出した契機になりました。日本では、2001年、BoAをプロデュースし、次いで東方神起や少女時代などが大活躍、日本でK-POPブームをつくった立役者です。イ氏がつくり出した、韓国のアイドルならではのアイドル育成システムは他の会社にも広まり、現在のグローバルK-POPの礎となったと評価されています。


HYBEの議長、パン・シヒョク氏は、JYPエンターテインメントに在籍していましたが、2005年にHYBE(当時の名称はBIG HITエンターテインメント)を立ち上げました。BTSはパン氏がプロデュースした初めてのアーティストです。デビュー当初は資金が足りず、他の大手事務所が行うような大掛かりなプロモーションができなかったため、YouTubeやSNSを活用して地道にBTSのプロモーションを行い、これが功を奏して、BTSを「世界のアイドル」に育て上げたと評価されています。HYBEは芸能事務所としては初めて、韓国株式のメインの市場である「KOSPI(コスピ)」に上場しています。


SMエンターでは、すでにSMのすべてのポストから退いているイ・スマン氏が依然として影響力を持ち続け、しかも最近のプロデュース事業(ガールズメンバーユニットのGOT the beatやaespaの新アルバムなど)が思うように成果を出せていないことから、イ・スマン氏らこれまでSMアーティストたちのプロデュースを担ってきた人たちの力を疑問視する声が出ていました。そこでSMの今の共同代表の二人は、イ・スマン氏を排除したSM刷新案を発表し、それに反発したイ・スマン氏と、HYBEの利害が一致した結果、今回の事態に至ったというのが、これまでの経緯です。もちろんこれだけではなく、複雑に入り組んだ問題ではあるのですが、大きく平たく見ればそのような経緯だと言えるでしょう。


二つの会社がタッグを組んだことで、これからのKPOP業界に影響があるのは必至です。HYBEはSMの株式を40%近く確保したい考えを持っていて、その思惑通りになれば、SMはHYBE傘下のレーベルの一つとなり、KPOP業界は、規模だけで言えば、HYBEの独走体制になりかねません。アメリカCNNは、HYBEとSMのこの動きについて、「ソニーミュージック、ユニバーサルミュージック、ワーナーミュージックというビッグ3のレコードレーベルと肩を並べることになるかもしれない」と報じています。ただ、HYBEという巨大権力の登場に対する懸念も出ています。それに、「音楽は文化であるのに経済的な尺度だけで量られるのが残念だ」、アーティストとファン、多様な芸能事務所が競争し合い、大きく育ててきたKPOPがそのパワーをむしろ失うことになりかねない」などと心配する声も上がっています。 


しかし、ネットの日本の記事(Real Sound)では、「それぞれ戦略は異なるものの、「K-POPをさらに世界へ」という想いや目標は共通する部分もあるため、SMエンターテインメントがHYBE傘下となったとしても、互いに切磋琢磨しながらシーン創出を担う構図は変わらないようにも思う」という、そう悲観的ではない見解もみられました。

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