リスナーの皆さんはSAT試験というのをご存知でしょうか。アメリカの大学に入学する際に受ける、韓国でいうと修学能力試験、日本でいうとセンター試験のようなものです。
外国人の学生がアメリカの大学を受験する際にはTOEFLとSATの二つの試験を受けなければなりません。 TOEFLは英語を母国語としない学生用の英語の試験、そしてSATはアメリカ国内の学生も含めて全員が受けなければならない試験のことです。
そして これらの試験は、わざわざアメリカまで行かなくとも、韓国でも日本でも受験できます。また年に何度か試験があるので、数回のチャレンジも可能です。
今回、韓国で行われるSATの試験が5月に続き、6月も中止されることになりました。その理由はなんでしょう。この試験の出題機関では
韓国の検察が送ってきた証拠資料を分析したところ、出題予定だった一部SATの問題が流出したことが確認された。多くの受験生がすでに試験問題に接している可能性が高く、5月の試験と6月の生物科目の試験を取り消すことになった
と述べています。韓国の受験予備校はこれまでにも何度も問題になってきました。
2007年には韓国の受験生900人の点数がSAT問題の事前流出により取り消しになっており、TOEFLも不正行為が摘発され2000年以後2度も試験方式が変更になっています。
また今年2月には東南アジアの国家と韓国との時差を利用し、受験予備校がアルバイトを雇い東南アジアの国で試験を受けさせ、試験問題を事前に知ろうとしました。また試験問題を一部ちぎって持ち出したり、あるいは試験会場に持ち込んだ計算機に入力する方法で持ち出すなどの行為も行われてきました。
そのため韓国はすでにアメリカの試験機関から不正入試の国という悪名が付けられています。
今回の試験中止発表の後、一部の受験予備校はすぐにこんな広告を出しました。
海外で6月の試験を受けようと思う学生はすぐに海外試験センターに登録してください。日本で試験を受けられるように航空券、宿泊施設などのパッケージ商品を準備しました。費用は50万から80万ウォンです
まるで、もぐら叩きのようなものです、
では実際にこの SAT試験を受けようと言う受験生はどのくらいいるかというと
数百人に過ぎないと言います。そして受験予備校側は「問題を入手し、分析するのは自分たちの仕事に過ぎない」といい、親たちもお金がいくらかかっても子供がアメリカの有名大学に入学できるためならという姿勢です。
私のまわりにも今回の6月の試験を準備していた受験生がいました。彼女のことを考えるとちょっとかわいそうかなとも思います。結局問題は韓国の教育熱の高さです。
有名大学に行かなくても、あるいはアメリカの大学に留学しないでも幸せに暮らせる方法を示せれば、こういう不正もなくなるとは思うのですが、それができない限りはこのような問題はきっとまた登場することでしょう。