韓日関係が冷え切ったなか、去年、韓国を訪れた日本人旅行者は21%減。一方、日本を訪れた韓国人は20%増の245万人でした。
そこで、きょうは、韓国人向けに日本の観光旅行をPRする独立行政法人、日本政府観光局ソウル事務所の所長、鄭然凡(チョン・ヨンボム)さんに、韓日観光の最新事情を伺い、その素顔に迫ります。
日本政府観光局ソウル事務所とは?
独立行政法人の出先として、1985年に開設
韓国内における日本の観光旅行の企画開発・PRが業務
所長鄭然凡さんのプロフィール
韓国生まれで幼少の頃から日本で生活
1998年日本政府観光局に入社し、2003年から5年間ニューヨーク事務所に勤務
ソウル事務所には、2011年7月に赴任
ソウルへの赴任は東日本大震災から4か月後。韓国での観光プロモーションは?
「ジェットコースターに乗っているような感じ。震災から回復の兆しが出てきたときに、放射能の問題で、日本に安全、安心に旅行できるイメージがなくなり、長引た。下ばかり見ていられず、地道にプロモーションを続け、ようやく今年勢いが出てきた。不透明だが、今の流れが続くことを願っている」
韓国の人々にとって、日本観光の魅力は?
「安・近・短の言葉通り、グルメと温泉という日本ならではの魅力を気楽に楽しむのが定着、国内旅行の延長のよう。平日働いて、週末は日本に行って、おいしいものを食べ温泉に入り、リフレッシュして、またがんばる女性とか・・・。登山なら2000m級の山、スキーならパウダースノー、ゴルフならチャンピオンコースがちょっと足を伸ばせば、日本でできる・・・」
韓国の人たちに一番人気の観光地は?
「なんといっても沖縄。沖縄とか北海道は3泊とか4泊する。我々には相互交流も大事ですが、経済的には、お金を落としてもらえる。日本の本格的なリゾートという位置づけで、沖縄への関心は最高に高まっている」
韓国と日本を結ぶ航空路線ののネットワークは?
「韓国の4つお空港、日本の26の空港が結ばれ、週700便が運航。長い目で見ると、右肩上がり。増えたり減ったりしていますが、両国を結ぶ橋は、長期的には増え続けていく」
冷え切った韓日関係の中で、日本への観光PRの意味は?
「現在は、兄弟の仲が悪くなっている雰囲気でしょうか。これから日本と韓国の間には、もっともっと橋が架かっていく。航空路線でもクルーズでもいろいろな新しい橋が架かれば、人が動く。長い目でみれば、関係は良くなる。生身の文化、人に出会う機会を作ることを地道にやっていきたい」
これからの日本政府観光局の役割は?
「国の主張や事実がどうであれ、観光は相手側が旅行に行きたいと思う気持ちがおきるか消えるかがすべて。相手の気持ちに寄り添い、理詰めではなくハートに訴えなければいけない。観光プロモーションは大事。国と国の関係が良くても悪くても地道にお互いの国を訪問し続ける機会を作り続けること」
追記:
鄭さんとのインタビューの中で、「日本に行く人が多ければ、地に足の着いた日本の見方が増える」という言葉がありました。観光の最前線に立つプロの見方として、“言い得て妙”と実感しました。