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ピープル

スピーカーデザイナー、ユ・クギル

2016-12-13

ソウルの「ザ・ページ」ギャラリーにユニークな形のスピーカーが展示されています。宇宙と星、ギリシャ神話に登場する女神の馬をモチーフにしたものや、金属板の上にサイコロのようなキューブが載った形のものなどスピーカーには見えない作品ばかりです。美術作品のように見えるこれらのスピーカーは、今年51歳になったスピーカーデザイナー、ユ・クギルさんの作品です。ギャラリーにはスピーカーと椅子が置かれた展示室もあってユ・クギルさんのスピーカーから出る音を聴いてみることができます。目をつぶって聴いていると、スピーカーから流れているはずの教会の鐘の音や音楽が、スピーカーの後ろから聞こえてくるような不思議な気分を味わうことができます。

メタルスピーカーを作り始めて今年で23年目になるスピーカーデザイナー、ユ・クギルさん。オーディオ評論家でもある彼は、8つの技術特許をはじめ、32のデザイン特許を受け、世界的なデザイン賞であるレッド・ドット・デザイン賞を受賞するなど、スピーカーデザイナーとして世界的にその実力を認められています。



子どもの頃から音楽と美術に関心を持っていたユ・クギルさんは、大学と大学院で金属造形デザインを専攻しました。大学院を卒業したユ・クギルさんは、デザインではなく、オーディオ評論家として活動しながら音に関する研究を始めました。オーディオやスピーカーなど機械を何度も分解し、音を分析していくうちに、部品の素材による特徴や違いなどについて知り、その長所や短所を比べることができるようになりました。音について研究を重ねたユ・クギルさんは、自分だけのスピーカーを作ってみたいと思いました。金属を材料にしたメタルスピーカーを作ることになったのは生の音を再現するためでした。振動が大きいと音が響き、不要な音が出るので振動を押さえなければなりませんでした。振動は重量に反比例するため、重い金属を材料にしたスピーカーを作ろうと思いついたのです。6年間、電気街を回って材料や部品を買込み、作っては分解する過程を数百回繰り返していたユ・クギルさんは、1998年、ついに満足のいくスピーカーを完成させ、金属製スピーカー専門会社「メタル・サウンド・デザイン」を設立しました。

金属製のスピーカーは重いという欠点はありますが、正確な音を伝えることができると確信したユ・クギルさん。自作のスピーカーを手に、ドイツへ向かいました。世界最高の音響ユニットメーカーとされるドイツのアクトン(Accuton)社を訪れ、パートナーシップを結ぶためでした。アクトン社は無名のスピーカーデザイナーだったユ・クギルさんの提案を断り続けました。最初の訪問から4年目、アクトン社とのパートナーシップをあきらめ、韓国に戻ったユ・クギルさん。ところが、そんなユ・クギルさんに今度はドイツのアクトン社から連絡がありました。ユ・クギルさんの情熱に心を動かされたアクトン社が投資を決めたのです。2004年からアクトン社とユ・クギルさんはパートナシップを結び、スピーカーを制作しています。

アクトン社の他にも世界的な企業と手を組んでスピーカーを生産するようになった今も、ユ・クギルさんは自分の手でスピーカーを作り続けています。手作りのスピーカーの材料は飛行機の胴体の制作にも使われる金属です。この金属を削ったり、くっつけたりして作った
800あまりの部品を組立てると、スピーカーの重さはざっと100キロに達します。しかし、この100キロのスピーカーは重い金属の固まりのように見えず、星や花など自然の一部に見えます。ユ・クギルさんのスピーカーの魅力はデザインだけではありません。原音をそのまま再現するのも大きな魅力の一つです。プロデューサやミュージシャンが生み出した音をそのまま再現し、伝えるのがスピーカーが持つ本来の目的だと思ったのです。彼は、何も加味されていない生の音、もっとも正確な音を伝えられるスピーカーを作ろうと努力しています。

生の音をそのまま再現できるスピーカーを作りたいと願うスピーカーデザイナー、ユ・クギルさん。その願いと努力が重い金属の固まりに過ぎないスピーカーを世界的な名品にしています。

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