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エッセイ『気分を管理すれば人生が管理される』

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2022-10-20

玄海灘に立つ虹


〇本日ご紹介する本は、キム・ダスルのエッセイ『気分を管理すれば人生が管理される(기분을 관리하면 인생이 관리된다)』です。今年出た本なのでまだ日本では翻訳されていないと思いますが、韓国でよく売れているので、遠からず翻訳も出るんじゃないかなと思います。キム・ダスルさんは、プロフィールを見ると、作家、作詞家、コピーライターとありますが、インタビューなどはあまり受けていないようで、どんな人なのかなとインスタグラムをのぞいてみると、若い男性のようです。


〇気分をコントロールするのって意外と難しいですが、できれば気分よく過ごしたいというのはみんな同じだろうと思います。さらには気分が悪いままでいると、やることやること結果も悪いという悪循環に陥ることもあります。そんなみんなが抱える気分に関する悩みに答えてくれるエッセイです。

例えば、「ストレスを減らす方法」の項目では、一つ目に「30分早く動く」、二つ目に「本や文章を読む」とあります。確かに私も、時間に遅れそうになって焦るストレスが一番よく受けるストレスです。私の場合は締め切りの問題でもあるのですが、余裕を持って動くというのは間違いなくストレスを減らす方法の一つだと思います。本や文章を読むというのも、私はすごく共感します。仕事がら、映画やドラマなど映像を見る時間が長いのですが、内容がおもしろくても疲労を感じることが多いです。そんな時、本を読む時間を持つと自然とリラックスできます。自宅でパソコンに向かって仕事をすることが多いので、疲れたらカフェで本を読むのが習慣になっていて、特にこのエッセイのような軽く読める本がストレスを和らげてくれます。これは人によると思うんですが、私の場合は電子版でなく紙の本を読むと落ち着きます。


〇韓国っぽいなと思う部分もあったのですが、「一人だけの時間を持つ」という項目で、「昔は一人の時間が寂しく感じられて耐えがたかったが、今は一人だけの時間が必要だということを知っている」とあり、やっぱり韓国の人は日本の人に比べて一人が苦手という人多いなと思います。私は逆に誰かといつも一緒にいる方が疲れるんですが、私が韓国で一人で暮らしているのを心配してくれる韓国の友人が多く、いつも「寂しくない?」と気遣ってくれるます。実は全然寂しくなくて、逆に申し訳ない気がします(笑)

若い人で友達同士一緒に住む場合もけっこう多く、私も「家賃がお互い浮くし、一緒に住まない?」と誘われたことがあるのですが、やっぱり家族以外と住むのは抵抗があるというのが本音です。旅行ぐらいは楽しくていいんですが、日本ではあんまり友達同士一緒に住むというのを聞かないので、これは日韓の違いだろうなという気がします。


〇私は「メンタルが強い」と言われる方で、この本に出てくるノウハウは普段実践していることが多くありました。例えば、「期待は大きくない方がいい」という項目。「期待が大きいほど失望も大きい。人に対して、愛情や友情に大きく期待しない習慣が大事」とありますが、私は基本的に身近な人にも初対面の人にも、あまり期待しない方です。期待値が低いと、その分、ささいなことでもありがたく感じますよね。仕事でも、原稿料とか、編集者の反応とか、期待せずに淡々と仕事をすると、思ったより原稿料が高かったり、編集者にほめられたり、うれしいことがあります。気分の上下が激しい人の話を聞いていると、すごく期待して、期待通りいかずすごく落ち込む、という場合が多いように思います。


〇あと、大事だなと共感したのは「私が私のことを決める」という項目。特に韓国では他人に干渉するというと言葉が悪いですが、よかれと思って本当にいろんなことを助言してくれる人がいますが、結局は自分の人生、自分で決める、というのは私もいつも意識しています。もちろんいろんな意見は参考になるし、自分の盲点に気付かされることも多々ありますが、他人の意見に振り回されない、というのは大事だと思います。

私のような「メンタルが強い」と言われる人でも、読みながら、自分を振り返る時間になりました。今まさに人間関係などで悩みを抱えている、という人には、解決の糸口が見つかる救世主のような本になるかもしれません。それぞれ短い文章なので、韓国語を学んでいる方にもおすすめです。


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