1997年に起きたいわゆる「梨泰院(イテウォン)殺人事件」に対する判決公判 が、29日行われ、ソウル中央地方裁判所は、アーサー・パターソン被告(37)に対し、懲役20年を言い渡しました。
この事件は、1997年4月、梨泰院にあるハンバーガー店のトイレで、当時23歳の男子大学生チョ・ジュンピルさんが刃物で刺されて殺害されたものです。検察は、当日、ハンバーガー店にいた在米韓国人エドワード・リー(当時17歳)被告を殺人などの罪で、韓国駐留アメリカ軍兵士の息子のアーサー・パターソン(当時17歳)被告を、証拠隠滅などの罪で起訴しました。
1審で、エドワード・リー被告は無期懲役を、パターソン被告は懲役1年6か月を言い渡されましたが、翌年4月、最高裁判所に当たる大法院でリー被告は証拠不十分で無罪となりました。
その後、検察はパターソンが真犯人とみて、再捜査に乗り出しましたが、服役中に特別恩赦で釈放されたパターソンは当局が出国禁止を延長する前にアメリカに出国し、検察は結局、2002年10月にパターソン被告に対して起訴中止の決定をしました。
それから12年後の2014年、検察は、新たに導入された血痕分析技法で犯行を検証したところ、パターソン被告が殺害した犯人である可能性が出てきたことから、パターソン被告は去年9月、韓国に送還されました。
検察は、パターソン被告をあらためて殺人罪で起訴し、懲役20年を求刑していました。
判決で、裁判所は、「被告が被害者を刃物で刺すのを目撃したとするエドワード・リー元被告の証言に信ぴょう性がある」として、アーサー・パターソン被告に対し求刑通り懲役20年を言い渡しました。
懲役20年は、犯行当時、満18歳未満だったアーサー・パターソン被告に対して宣告できる法廷最高刑となります。
裁判所は、エドワード・リー元被告についても、パターソン被告に殺人をそそのかしたとして、殺人の共犯だとしました。
しかし、リー元被告に対してはすでに無罪確定判決が出ているため罪に問うことはできません。