国連安全保障理事会の決議によって輸出と輸入が禁じられている北韓産の石炭が、原産地を偽装する方法で韓国に違法に持ち込まれていたことがわかり、波紋が広がっています。
北韓産石炭が韓国に違法に持ち込まれていたとする疑惑が初めて持ち上がったのは去年10月で、アメリカが韓国政府に情報を提供したのがきっかけです。そのあと、ことし3月には国連の報告書で疑いを指摘しています。
ところが、この疑惑が本格的に波紋を広げ始めたのは、ことし7月になってからで、これについて、一部の専門家は、米朝の交渉を遅らせたい勢力が政治的に利用しているという見方を示しています。
野党は、この問題を、政府・与党に対する格好の攻撃材料とみて攻勢を強めています。
野党は、北韓産の石炭を韓国に運んだ疑いが持たれていた船舶について、政府が情報を事前に把握していながらも、南北間の対話ムードを阻害しないために、事実上、黙認していたと主張しています。
国連安保理の決議で、「北韓に対する制裁違反に関与した船舶が入港した場合、拿捕や抑留などの措置を取らなければならない」と明記されているにもかかわらず、韓国政府がそのような措置を取っていなかったことを根拠としてあげています。
アメリカが制裁違反に関与した韓国企業を制裁の対象に加えるかどうかも、注目されるところです。
政府は、「今回の問題で、アメリカ政府と緊密に協力しており、アメリカも、韓国政府の制裁履行措置を評価している」としていますが、北韓に対する制裁において強硬な姿勢を崩さないアメリカが、今後、どのような動きに出るか、注目されます。