韓国では15日、植民地支配からの解放を祝う「光復節」の式典が開かれました。
文在寅大統領は祝辞で、安倍総理とは両国関係を未来志向で発展させ、韓半島の平和と繁栄のために協力していると述べました。
そのうえで、そうした協力は日本と北韓の関係正常化につながるだろうと指摘しました。
文在寅大統領のこうした発言は、日本政府が進めている日朝首脳会談の開催に韓国政府としても協力するとの考えを示したものと受け止められています。
文在寅大統領は昨年の祝辞では、韓日関係の未来志向な発展に言及しながらも、歴史問題の解決が重要との考えを強調しましたが、ことしの祝辞では歴史問題には言及せず、関係を未来志向で発展させることだけを強調しました。
こうした変化の背景には、歴史問題については韓国政府の基本的な立場が十分に日本政府に伝えられたとの判断があったとみられます。
文在寅大統領は14日の「慰安婦被害者をたたえる日」の式辞で、慰安婦問題に関する韓国政府の立場を十分説明していて、さらに歴史問題に言及する必要はないと判断したもようです。
文在寅大統領は「慰安婦被害者をたたえる日」の式辞で、「慰安婦問題は外交的手法で解決できる問題ではない」としたうえで、「慰安婦被害者の尊厳と名誉を回復し、心の傷が癒えたときに初めて問題を解決することができる」と強調しました。
文在寅大統領が「光復節」の祝辞で日本への批判を控えたのは、北韓の核問題を解決していくうえで日本との協力が重要だとの判断も作用したとみられます。
文在寅大統領としては、南北首脳会談や米朝非核化交渉で成果を出すためには日本をはじめとする関係国の協力が欠かせないと判断したもようです。
さらに、ことしは1998年10月に当時の金大中大統領と小渕恵三総理が採択した韓日共同宣言から20年になる節目の年で、両国関係が改善に向けて動き出していることも考慮されたとされています。
世宗研究所日本研究センターの陳昌洙(ジン・チャンス)さんは、北韓の核問題に集中できる方向で日本との関係を構築していくとの考えが反映されたものとみられるとしました。