旧日本軍の慰安婦問題をめぐる2015年末の韓日合意にもとづいて設立された「和解・癒やし財団」の取り扱いについて、韓国の陳善美(チン・ソンミ)女性家族部長官は、「政府の立場は整理され、発表の時期について詰めの調整中だ。11月を越えないようにしたい」と述べました。
陳善美長官は11月初めに具体的措置を発表する意向を示していましたが、「外交問題もあって政府全体に関わることだ」と述べ、発表の最終調整に時間がかかっていることをうかがわせました。
韓日関係筋によりますと、韓国外交部の趙顕(チョ・ヒョン)第1次官が10月末に東京で秋葉剛男(あきば・ たけお)外務次官と協議した際に、財団を解散したい考えを伝えていました。
また韓国の政府高官も16日、「和解・癒やし財団」の取り扱いについて、「今月中に財団の解散決定を発表する。解散までの法的な手続きに6か月から1年ほどかかる」と述べ、解散決定が固まったことを示唆していて、財団解散を発表する可能性が高くなっています。
しかし日本政府は合意の着実な実施が重要で、現段階での解散はあり得ないとする立場をとっており、解散が発表された場合、両国関係に影響を及ぼすことは避けられないものとみられています。
「和解・癒やし財団」は、2015年の日韓慰安婦合意にもとづいて、日本政府の資金10億円をもとに韓国政府がつくり、元慰安婦らへの現金支給事業を行ってきました。これまでに、2015年末の合意時点での生存者47人のうち34人に対して1人当たり1億ウォン、日本円にしておよそ1000万円を支給してきました。
しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、慰安婦合意の検証を行ったうえで10億円を韓国政府の支出に置き換え、理事8人のうち民間からの5人全員が辞任して財団の機能は事実上停止しています。