トランプ大統領は22日、財務省による北韓への追加の独自制裁について「取り消しを指示した」と自身のツイッターで明らかにしました。北韓が、アメリカとの非核化交渉の停止を検討していると発表して以来、トランプ大統領が北韓に対する立場を明らかにするのは初めてです。
これについてホワイトハウスの報道官は声明で、「トランプ大統領は北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を好んでおり、制裁措置は不要と考えている」と述べ、対話を続けていく姿勢を示しました。
財務省が21日、中国の海運会社2社への制裁措置を発表していますが、22日には新たな追加制裁は発表しておらず、トランプ大統領が取り消しを指示したという制裁が何を指しているかは明確ではありません。
しかし、北韓が開城(ケソン)工業団地にある南北連絡事務所から一方的に撤収したことから、トランプ大統領がこれまでの沈黙を破って、自ら北韓制裁のバランスの調節に乗り出したものとみられます。
2016年のアメリカの大統領選挙でロシアがトランプ大統領陣営に肩入れした「ロシア疑惑」をめぐって、マラー特別検察官が24日、ロシアとトランプ氏陣営との共謀は「見つからなかった」と結論付け、さらに、トランプ氏の司法妨害については判断を見送ったと発表したことで、今後、トランプ大統領が対北韓政策を取りやすくなったという見方も出ています。
北韓が連絡事務所を撤収しながらも、韓国側の事務所の撤収を求めなかったことは、非核化に向けた対話の余地は残したいという意思の表れとみられます。
大統領府青瓦台は、北韓が連絡事務所から撤収する一方で、トランプ大統領が追加制裁の撤回に言及した、こうした米朝間の流れを慎重に見守っています。