ポン・ジュノ(奉俊昊)監督の映画、「寄生虫/Parasite(英題)」が、第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、最高の賞のパルムドールを受賞しました。
今回の受賞は、韓国人監督として初めてのパルムドール受賞ということで意味がありますが、ことしで100年を迎える韓国の映画史にとって大きな金字塔となりました。
カンヌ国際映画祭で初めて受賞した韓国映画は、監督賞に輝いた2002年のイム・グォンテク 監督の「酔画仙」でした。
それ以降、イ・チャンドン監督、パク・チャヌク監督がトロフィーを手にしました。
いずれも大衆性よりは芸術性に重きをおく監督でした。
しかし、ポン・ジュノ監督は、代表的な商業映画監督です。
韓国映画は1990年代以降、国の検閲制度の廃止によって、表現の自由が保障されたことで、多様性に富む映画が多く作られるようになりました。
しかし、ここ数年、大掛かりな娯楽映画に偏り、それらの映画が興行的に失敗するなど、全般的に停滞する傾向が見えました。
こうしたことから、大衆性と芸術性を合わせ持つポン監督の受賞は、マンネリに陥っていた韓国映画界に新鮮な刺激を与えたとされます。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は26日、ツイッターに、「『寄生虫』に注がれた多くの方々の情熱が、韓国映画への大きな誇りを生み出した。地道に努力して、12歳のときからの夢をかなえ、世界的な監督となったポン・ジュノという名前が誇らしい」と書き込み、お祝いのメッセージを伝えました。