日本政府が半導体の原材料などの韓国への輸出について規制を強化する方針を発表したことについて、規制が長引いた場合、韓国企業と取引する日本企業にも影響が及ぶとの見方が示されました。
韓国貿易協会は2日、「半導体市場は韓国企業の割合が高く、日本の輸出規制が長びけば、韓国企業と取引する日本企業もかなりの被害を避けられない産業構造になっている」とする報告書を発表しました。
同じような見方は日本でも出ていて、日本経済新聞は2日、「元徴用工めぐる対抗措置の応酬を自制せよ」と題する社説を掲載し、「元徴用工訴訟をめぐり通商政策を持ち出すのは企業への影響など副作用が大きく、長い目でみて不利益が多いと懸念せざるをえない」と指摘しました。
そのうえで、「材料の供給が途切れ、例えば世界最大の半導体メーカーである韓国サムスン電子の生産に支障が出るようなら、スマホやパソコンなど半導体を利用するすべての機器の生産も滞り、混乱が世界に広がりかねない。日本発の供給ショックを起こしてはならない」としています。
一方、安倍首相は1日の読売新聞のインタビューで、韓国への半導体材料の輸出規制強化について、「国と国との信頼関係の上に行ってきた措置を見直したということだ。日本は、すべての措置はWTO=世界貿易機関のルールと整合的でなければならないという考え方だ。自由貿易とは関わりない」とも語り、今回の措置は国際貿易ルールに反しないとの立場を強調しました。
こうした発言について、韓国では、安倍首相自らが、今回の措置が元徴用工をめぐる対抗措置であることを認めたものと解釈しています。
読売新聞は、「日本政府の今回の措置は、5月に最終案がほぼ固まっており、対抗措置としてどの品目を対象とするかは、一部の政府関係者が決めた」としています。