最高裁にあたる韓国大法院が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決をめぐって、韓国政府が、日本と韓国の企業が出した基金で勝訴が確定した原告に賠償金を払い、ほかの被害者に対しては韓国政府が支払うという新たな交渉案を日本に提示していたことがわかりました。
与党の関係者は、「去年大法院で勝訴が確定した3件の訴訟については、日本と韓国の企業が出した基金で賠償金相当額を払い、ほかの被害者に対しては韓国政府が支払う方式を日本に提案したが、日本側からは回答がない」と11日、明らかにしました。
この関係者は、この案について「元徴用工に対して責任がある日本企業が基金を出すことで、個人の賠償権を認めた大法院の判決の趣旨を生かすことができ、一方、今後相次ぐと予想される訴訟については、韓国政府が責任を取ることになれば、1965年の韓日請求権協定にも反しない」と説明しました。
外交部によりますと、元徴用工をめぐる訴訟は合わせて15件で、このうち大法院の判決が出たのは3件で、原告は合わせて37人であるのに対して、裁判が進行中なのは12件あり、原告はあわせて940人に上るということです。
与党内ではこうした韓国政府の新たな交渉案が盛り込まれた特別法の制定も検討されているということです。
これについて大統領府青瓦台は否定していますが、政府関係者は、「三権分立の原則にもとづいて、政府が大法院の判決に介入することはできないという立場を維持しながらも、日本の立場を十分に反映した案だと考えるが、日本は協議に誠意を持って応じていない」と指摘しました。