韓国政府が22日、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたのは、日本の経済報復措置に対する韓国国民の世論や、過去の歴史問題を安全保障問題に結びつけた日本側の態度などを総合的に考慮したものとみられています。
韓国政府の今回の決定は何より、相互信頼にもとづく安全保障面での友好協力によって維持されてきた「ホワイト国」から、韓国を除外するなど、日本が経済報復措置を撤回する兆しが見えないことから、衝撃を与えて行動を促すための措置とも受け止められます。
日本が今月28日に韓国を「ホワイト国」から除外することを決定しているなか、韓日軍事情報包括保護協定の延長を決めても、得られるものは少ないと判断したものと見られます。
韓国政府は、2016年11月の協定締結以来、軍事情報の質や有効性の面でも韓国としては需要が大きくなかったと説明しています。
そもそもこの協定は、アメリカの要求によって締結されたもので、政府が協定の破棄を検討したのは、韓日間の対立にアメリカが積極的に関与し、仲裁するよう促す狙いがありました。
しかし、アメリカが韓日間の仲介に消極的な態度を取り続けたため、韓国政府が電撃的に協定の破棄を決めたという見方も出ています。
大統領府青瓦台は破棄決定に先立ち、ほぼ毎日のように協定を延長するかどうかについての世論調査を行いましたが、協定の破棄を求める声が高く、政府が延長を決めた場合、政権の支持基盤からの強い反発に直面する可能性が高いと判断したとみられます。
一方、アメリカがこれまで直接・間接的に協定の延長を望む立場を示してきたことから、今回の決定で、韓日の対立、南北関係の停滞でアメリカとの連携が切に求められる韓国の外交的負担がさらに重くなったという懸念の声も上がっています。
保守陣営からは、協定の破棄によって北韓関連情報収集力が弱まることを憂慮する声も出ています。
これについ大統領府青瓦台の関係者は「協定が終了しても韓国政府や韓米連合軍の資産を通じて、韓半島周辺の安全保障状況は綿密に監視できる。必要な場合は、韓日米情報共有協定(TISA)を活用して日本との協力は続けられる。情報や監視の空白は生じない」と話しています。