WTO=世界貿易機関が韓国など裕福な国を発展途上国として扱い、優遇措置を与えているとして、アメリカがWTOの制度改革などに乗り出そうとしていることについて、韓国の通商当局はWTOの発展途上国としての地位によるメリットはそれほど大きくないという判断を示しました。
産業通商資源部の高官は4日、「発展途上国としての地位を維持することで得られるメリットは少なく、今後、この地位を維持させるための交渉も事実上行っていない」と話しました。
産業通商資源部は、韓国の発展途上国の地位について、WTOに加盟した当時、農業分野で途上国の特別扱いを受けることになり、先進国クラブであるOECD=経済協力開発機構に加盟した1996年からは、農業を除く分野で途上国の特別扱いは主張しないという条件で、途上国の地位に留まってきたと説明しています。
これにより、韓国は農業分野での関税や補助金の削減率、履行期間などが先進国に比べて有利になっています。
しかし、 産業通商資源部の当局者は「途上国の場合、農業生産額の10%ほどの補助金を認めているが、韓国の場合、ほとんどの補助金が10%を超えないため途上国の地位を失っても被害が大きくない。むしろ韓国が途上国の地位を維持すれば、中国やインドが韓国を引き合いに出す可能性があり、そうなった場合、アメリカと中国の対立が、アメリカと韓国の対立にまで広がる恐れがある」として懸念を示しました。
アメリカのトランプ大統領は7月26日、WTOが韓国や中国など裕福な国を発展途上国として扱い、優遇措置を与えているとして、WTOの制度改革などあらゆる措置を講じるようアメリカ通商代表部(USTR)に命じ、WTOの制度改革が90日以内に大きく進展しなければ、一方的にこうした国への優遇を取りやめるとして圧力をかけました。