北韓の国防科学院の報道官が、北韓北西部・東倉里(トンチャンリ)にある「西海衛星発射場」で7日午後、「非常に重大な実験が行われ、成功した」と発表しました。
この報道官は、「この実験の結果が北韓の戦略的地位を再び変化させる」と強調しました。
東倉里には、衛星発射場とロケットエンジン実験場がありますが、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は去年9月の南北首脳会談で非核化措置の一環としてここを永久に閉鎖することで合意しています。
したがって、今回の実験は、北韓が「これまでもっとも大きな規模だった6回目の核実験や15回の弾道ミサイルの発射実験を行ったおととしの段階に後戻りすることができる」というメッセージを発したものとも受け止められます。
アメリカから非核化の見返りを受け取れない場合、核保有国の地位を主張し、新たな道へ進む可能性があるという威嚇です。
ただ、北韓がどのような実験をしたのかは、まだ明らかになっていません。
「戦略的地位」に言及していることから、ICBM=大陸間弾道ミサイルに使う全く新たな固体エンジンの実験の可能性や、従来のエンジンの性能を改善させた新型の液体エンジンの実験の可能性が同時に上がっています。
固体エンジンの場合、常に充填させておいて、いつでも発射することができるため、ミサイル発射の兆候を事前に探知するのが困難で、密かに、速やかに発射できるというメリットがあります。
一方、金委員長は同じ日に、朝鮮労働党や軍幹部らとともに中部・平安南道(ピョンアンナムド)陽徳(ヤントク)郡の温泉リゾートの完工式に出席しました。
この温泉リゾートは、三池淵(サムジヨン)郡の山間都市、元山葛麻(ウォンサンカルマ)観光地区とともに自力更生を強調する金委員長の3大重点事業です。
自力更生を強調する一方で、これまで中止してきた戦略兵器の開発再開を通して新たな道を模索しようとする北韓の思惑がうかがえます。