イランが韓国船籍の石油タンカーをだ捕したことについて、アメリカの対イラン制裁で韓国国内に凍結された原油の輸出代金を新型コロナウイルスのワクチンの購入に充てるため、韓国と交渉を進めていたことがわかりました。
外交部当局者が5日に明らかにしたところによりますと、イラン政府が新型コロナワクチンを共同購入する国際的な枠組み「COVAXファシリティ」を通じてワクチンを確保するための費用を、韓国国内に凍結された原油輸出代金で支払うことを決め、アメリカ財務省の特別承認を受けて代金を支払おうとしましたが、イラン側に資金を送金する過程でアメリカ政府がこの代金をどう活用するか分からないとの懸念があるため、イラン側が最終決定を下せていない状況です。
また、これまで韓国はイランに対して人道的支援物資を送っていましたが、イランの強硬派は、輸出代金の規模に比べて韓国の支援が少ないとして不満を示していました。
政府によりますと、韓国のIBK企業銀行とウリ銀行に開設されたイラン口座には、原油輸出代金の70億から90億ドルが凍結されているということです。
しかし、アメリカ政府が2018年、イラン中央銀行を制裁リストに加えたため、この口座を通じた取り引きが中断され、イラン政府は凍結された資金の返還を求めました。
凍結された資金の活用方法について、韓国政府とイラン政府は、新型コロナのワクチン購入に充てる案を協議していました。
このため、アメリカによるイランへの経済制裁によりワクチンの確保が難しくなったことで、アメリカとの交渉力を上げるため韓国船をだ捕したとの分析が出ています。
こうした中、イラン政府の報道官は現地時間の5日、韓国船のだ捕と関連し、「イランの資金70億ドルを人質に取っているのは韓国だ」と述べ、今回の韓国船だ捕事件が韓国に凍結された原油輸出代金と関連があることを事実上認めました。
そのうえで、「イラン国民が厳しい状況にあるなかで、彼らは制裁対象ではない医薬品のような物資に関しても、根拠のない口実でイランの接近を拒否している」と強調し、「彼らはイラン国民がわれわれの資金に接近できるようにするためのいかなる追加措置も取らなかった」と批判しました。