アメリカのバイデン新政権はホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議にアジア政策を統括する「インド太平洋調整官」を新設し、カート・キャンベル元国務次官補をそのポストに就任させる見通しです。
バイデン新政権引き継ぎ委員会の報道官は現地時間の13日、ロイター通信とのインタビューで「キャンベル氏がインド太平洋調整官になるだろう」と発言しました。
新設されたインド太平洋調整官は、中国への対応を含むアジア戦略を全般的に担当するポストで、バイデン政権が中国への対応に重点を置いていることがうかがえます。
一方、キャンベル氏は12日(現地時間)、アメリカの外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に共同寄稿文を掲載し、対中政策のための同盟協力の方策として韓国を含む民主主義10か国で参加する「D10」やアメリカ、日本、オーストラリア、インドの4か国の枠組み「クアッド」を拡大すべきだと主張しました。
「D10」(Democracy 10)とは、イギリス政府が中国の影響力に対抗して民主主義国家の結束を呼びかけているもので、G7=主要7か国に韓国、オーストラリア、インドを足した10か国です。
一方、「クアッド」は中国をけん制するための非公式連合で、トランプ政権は韓国を念頭にその拡大を検討していました。
バイデン次期大統領の中国に対する強硬路線を具体化することになるキャンベル氏が、寄稿文で韓国を含む対中けん制構想を紹介したことをめぐって、バイデン政権発足後に韓国に対して対中けん制への参加を呼びかける可能性があるとの見方が出ています。