アメリカ議会の超党派による「トム・ラントス人権委員会」が韓国の「対北韓ビラ散布禁止法」に関する公聴会の開催を現地時間の15日に控えて、アメリカ国務省は、韓国は対北韓ビラ散布禁止法を見直すことができる民主主義国家であり、見直しを行なうための制度は備わっているとの立場を示しました。
アメリカの政府系メディアVOA=ボイス・オブ・アメリカは現地時間の13日、アメリカ国務省の関係者が、「われわれは、韓国が独立して機能する司法部をもった民主主義国家であり、対北韓ビラ散布を禁止する法律を見直すための制度は備わっているという事実を尊重する」と述べたと報じました。
そのうえで、「われわれは、韓国政府と緊密に対話し、北韓への情報の流入と表現の自由の重要性に関するアメリカの考えを表明してきた」とし、「北韓に情報が自由に行き来し、また北韓の中で情報が自由に流れるよう引き続き促す」としました。
アメリカ議会の超党派による「トム・ラントス人権委員会」は現地時間の15日午前10時、韓国の「対北韓ビラ散布禁止法」に関する公聴会を開催します。
国務省当局者の発言は、この公聴会の開催について、金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で統一部長官を務めた丁世鉉(チョン・セヒョン)民主平和統一諮問会議首席副議長が内政干渉だと批判したことに対する論評だということです。
また韓半島の人権と統一のための弁護士会など、27の団体が去年12月、北韓ビラ散布禁止法は違憲だとして、憲法に反する立法の不作為の確認を求める「憲法審査」を憲法裁判所に提出していますが、アメリカ国務省が論評で「司法部」について言及したのは、これを念頭に置いた表現だとする分析が出ています。
一方、アメリカの議会が、同盟国の法律を問題視して公聴会を開くのは異例で、故金日成(キム・イルソン)主席の生誕記念日「太陽節」である15日に開かれるため、北韓を刺激するとの懸念が出ています。
ただ、「トム・ラントス人権委員会」は公式的な常任委員会ではなく、「有志議員の集まり」に過ぎないため、アメリカ議会の公式的な立場として受け止めるのは難しい面もあります。
対北韓ビラ散布禁止法とは、南北の軍事境界線一帯で北韓へのビラ散布や拡声器での放送を行った場合、3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金を科すという内容を盛り込んだ「南北関係発展法の改正案」を指します。
この法律は、去年12月14日に国会で可決され、先月30日に施行されました。
この法律について文在寅(ムン・ジェイン)政権は、ビラ散布が南北の軍事的緊張を高めている点を踏まえ、軍事境界線付近の住民らの安全を確保するためだと説明しています。しかし、ビラ散布は脱北住民の表現の自由であり、北韓住民の知る権利を保障しなければならないとする反対意見もあり、賛否は大きく分かれています。