おととし9月、海洋水産部所属の公務員の男性が、韓半島西の海、西海上で北韓軍に射殺された事件をめぐって、海洋警察に対し男性が自ら越境しようとしたという捜査結果をまとめるよう大統領府青瓦台から指示があったかどうか確認するとして、男性の遺族が文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の国家安保室長らを告発しました。
この事件は、おととし9月21日に西海の延坪島(ヨンピョンド)付近の海上で、海洋水産部所属の公務員の男性が漁業指導船に乗船中、行方不明となったあと、翌日北韓軍によって射殺されたもので、当時、海洋警察は捜査の中間結果として、この男性がギャンブルによる借金などがあり、自ら北韓側に渡ろうとしたと断定していました。しかし、今月16日、海洋警察は最終的な捜査結果として「北韓に亡命しようとしていたと判断できる根拠はなかった」として2年前の判断を覆しています。
遺族は、青瓦台の国家安保室は国防部に、民情首席室は海洋警察庁にそれぞれ捜査の指針を出したとみていて、実際に指針があったかどうか確認するとして、当時の国家安保室長だった徐薫(ソ・フン)氏と民情首席秘書官だった金宗浩(キム・ジョンホ)氏を検察に告発しました。
文政権時代の公文書はすでに大統領記録文書として15年間秘密扱いになっていますが、遺族は大統領記録館側が当時の資料に関する情報公開請求を拒否すれば、文前大統領も告発するとしています。
また遺族はこの事件を、文前政権で発足した「高位公職者犯罪捜査処」に担当させず、検察が直接捜査するよう要請しました。
一方、海洋警察庁長は、2年前の捜査結果について謝罪しました。
海洋警察庁長は、「国防部から特殊情報を得られず、結局越境の証拠は見つからなかった」と釈明したうえで、「海洋警察の捜査結果の発表で、混乱を招き、国民を失望させたことに、庁長として責任を痛感し、深くお詫び申し上げます」として公式に謝罪しました。