梨泰院(イテウォン)の転倒事故の遺族などへの補償をめぐって、大統領室は特別法の制定を検討していることがわかりました。
大統領室の関係者は22日、聯合ニュースとの電話インタビューで、「事故の責任の所在が明らかになれば、まず現行法の範囲で措置がとられ、足りない部分は特別法などを作って補う方針だ」と明らかにしました。
特別法が制定されれば、国は、個別の損害賠償請求訴訟に対応する代わりに、審議委員会などを通じて一括で賠償の対応をすることができます。
このため、一部では、損害賠償請求訴訟で遺族らが勝つ可能性が高いことを念頭に置いたものではないかという声が上がっています。
大統領室はこの日、メディア向けの発表で「現在、特別法と関連して具体的に検討したり、決まった内容はない」と強調しました。
特別法の制定を明言すれば、国が賠償責任を認め、捜査当局に捜査のガイドラインを示したものともとられかねないため、慎重な姿勢をとっているものとみられます。
一方、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は21日、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理との面談で、遺族が正当な補償を受けるためにも真実の把握が重要だと述べました。
この発言をめぐっては、野党が要求している国政調査をけん制し、警察の捜査による真相究明を後押しするねらいがあるとの見方が出ています。