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米、核計画の凍結を要求か

今週のキーワード2019-07-06

ⓒYONHAP News

アメリカのネットメディア「アクシオス」は2日、非核化をめぐる米朝協議のアメリカ側実務責任者の話として、北韓に核およびミサイル開発を凍結させる案が検討されていると報じました。

それによりますと、アメリカ国務省のビーガン北韓担当特別代表が、非核化をめぐる米朝協議で、北韓に対して核兵器を含む大量破壊兵器計画の「完全な凍結」を求め、その見返りとして人道支援を与える方針を明らかにしたということです。

これは板門店で行われた米朝首脳会談後、アメリカに戻る機中で記者団にオフレコで語った内容ということです。

こうした発言については、トランプ政権が「完全な非核化」ではなく弾道ミサイルなどアメリカに対する直接的な脅威を取り除く方向に目標を修正したのではないかとする指摘もあります。

ビーガン特別代表は、まずは大量破壊兵器計画の完全な凍結を求めるとしながらも、アメリカの最終目標は「完全な非核化」だということを改めて明確にし、完全な非核化が実現するまでは制裁の緩和や解除は考えていないということを強調したということです。

完全な非核化まで制裁を維持するとの従来の立場を再確認しながら、核開発が凍結されたことが確認されれば人道支援や外交関係の改善など一定の譲歩に応じる用意があるとの考えを示したものと受け止められています。

2月にハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談では、アメリカ側が核兵器の完全廃棄を一気に求める、いわゆる「ビッグディール(大きな取引)」を主張し、物別れに終わった経緯があります。

板門店で行われた3回目の米朝首脳会談を受けて、今月中にも米朝実務者協議を再開する見通しですが、実務者協議でアメリカ側がこうした「譲歩案」を提示する可能性もあるとみられます。

ビーガン特別代表は先月、非核化をめぐる米朝交渉について、「米朝双方が柔軟なアプローチが必要だと考えており、扉は大きく開かれている」と語り、「柔軟なアプローチ」を強調しました。

今回の発言は「柔軟なアプローチ」についてより具体的に言及したものと受け止められています。

一方、米朝の実務者協議で、ビーガン特別代表の交渉相手として北韓の駐ベトナム大使を務めた金明吉(キム・ミョンギル)氏が浮上しています。

金明吉氏は国連代表部公使などを経て、2015年8月から2019年4月まで駐ベトナム大使を務めました。

国連代表部時代には、核問題をめぐる6か国協議にも携わったことがあり、「アメリカ通」としても知られています。

実務者協議で北韓がアメリカの一定の譲歩に応じれば、非核化に向けた動きが急展開する可能性もあります。

ただ、ビーガン特別代表が言及した大量破壊兵器計画の「完全な凍結」と、北韓が考えている「完全な凍結」が一致するという保証はありません。

また、制裁の解除を強く求めている北韓が、ビーガン特別代表が言及した人道支援や代表部設置などの外交関係の改善だけで満足するという保証もなく、楽観できる状況にないのはこれまでと変りありません。

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