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北韓が東京五輪不参加を決定

今週のキーワード2021-04-10

ⓒYONHAP News

北韓はこのほど、7月23日に開会予定の東京オリンピックに参加しないことを決めたと発表しました。

東京オリンピックへの不参加を表明したのは北韓が初めてです。

北韓体育省はウェブサイトで、先月25日に朝鮮オリンピック委員会の会合が開かれ、東京オリンピックへの不参加が決まったと明らかにしました。

北韓のメディアは先月、朝鮮オリンピック委員会の会合が開かれたことを報じましたが、東京オリンピック不参加の決定については触れませんでした。

参加しない理由については、新型コロナウイルスの感染から選手らを守るためだとしています。

実施に参加しない場合、1988年のソウル・オリンピック欠場以来です。

2018年の平昌冬季オリンピックでは、金正恩委員長の妹、金与正氏が韓国を訪れ、南北間の対話が米朝首脳会談にまでつながったとされています。

ということもあって、韓国は米朝協議を後押しするために、日本は拉致問題に関連して、アメリカは北韓との協議再開に向けた糸口を探る意味で、東京オリンピックは北韓と接触する機会として期待されました。

文在寅大統領は3月1日の独立運動を記念する三一節の演説で、東京オリンピックについて、南北、日朝、米朝の対話を促進する重要な機会になり得るとして、成功的な開催に向けた協力を約束しました。

北韓は不参加の理由について、新型コロナウイルスの感染から選手らを守るためだとしていますが、北韓への独自の制裁を延長した日本や、国連安保理決議の完全な履行を強調するバイデン政権への不満が作用したとの見方もあります。

菅義偉首相は日米首脳会談でバイデン大統領に拉致問題の重要性を訴えるなどしていて、北韓としてはこうした状況で東京オリンピックに参加しても得るものはないと判断したとみられます。

また、アメリカのバイデン政権は国連安保理決議の完全な履行を強調しつつ、実務レベルから段階的に北韓との協議を進めるとしていて、東京オリンピックでアメリカと接触する機会があっても、北韓にとってはメリットがないとする判断も背景にあるとみられます。

さらに、文在寅大統領の任期が1年足らずとなっていることもあり、韓国との対話にも関心が薄れているとみられます。

ぜい弱な国内の医療体制も含めて、いろいろな条件を考えると、北韓としては新型コロナウイルス感染拡大といったリスクを負いながら東京オリンピックに参加するメリットはないと判断したもようです。

一方、国際オリンピック委員会は、「北韓の朝鮮オリンピック委員会から公式な通知はなかった」としていて、北韓が東京オリンピックに参加する可能性が全くないわけではないとの見方もあります。

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