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北韓の5回目の核実験

今週のキーワード2016-09-11
北韓の5回目の核実験

北韓は9日午前9時30分に5回目となる核実験を行いました。
この核実験によるものと思われるマグニチュード5.3の揺れが観測されました。
震源は北韓の咸鏡北道吉州郡豊渓里の実験場で、ことし1月に4回目の核実験を行った場所です。
韓国軍は今回の爆発の規模を10キロトン程度と推定しています。
北韓はことし1月までに4回の核実験をしていますが、今回がこれまでで最も大きな規模です。
9日は北韓の68回目の建国記念日で、この日に合わせて核実験を強行したものとみられています。
北韓の朝鮮中央テレビは9日午後、「新たに開発した核弾頭の威力を判定するため、核爆発実験を断行し成功した」という声明を報じました。
この声明は、「弾道ミサイルに搭載できるよう標準化された核弾頭の構造や性能、威力を確認した。放射性核物質の漏えいは全くなかった」というものでした。
また「小型化軽量化された、より強力な核弾頭を生産することができるようになったことが最終的に判明した」と主張しました。
北韓による追加の核実験は予想されていました。
北韓は最近、弾道ミサイルの試験発射を繰り返し、一定の成果を収めています。
残った課題は、弾道ミサイルに搭載できるように核弾頭を小型化、軽量化することでした。
そのためには核弾頭爆発実験は欠かせず、金正恩労働党委員長は核弾頭の小型化、軽量化を督励していて、追加の核実験をするのは時間の問題でした。
今回の核実験で、北韓による核やミサイルの脅威は新たな局面に入りました。
北韓は弾道ミサイルの試験発射を繰り返し、日本の全域はもちろん、グアムのアメリカ軍基地まで攻撃できることを証明しました。
北韓が主張しているように、弾道ミサイルに搭載できるよう核弾頭を小型化、軽量化することに成功したとすれば、北韓による脅威はより具体的で現実的なものになります。
韓国政府は、北韓が追加の核実験をしたことについて声明を発表、北韓を強く非難しました。
声明は、挑発によって得るものは何もないということを悟るべきだとしたうえで、北韓はより強力な制裁と外交的孤立に直面し、結局は自滅するだろうと述べました。
また、すべての核計画を完全かつ検証可能で、不可逆的な方法で廃棄することを改めて促しました。
韓国政府は、国際社会と協力して、より強力な制裁措置を取るために努力するとしています。
韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は9日、日本の岸田文雄外相やアメリカのケリー国務長官と相次いで電話会談し、さらなる制裁措置を検討することやこの問題で連携をさらに強化していくことを確認しました。
中国外務省は9日、声明を発表し、「国際社会の普遍的な反対を顧みず、再び核実験を行った」として非難するとともに、国連安保理決議を順守するよう北韓に求めました。
国連安保理は3月に北韓に対する新たな制裁を決議したばかりで、国際社会が強く反発するのは当然と言えます。

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