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金正恩氏、平昌五輪に「選手団派遣の用意」

今週のキーワード2018-01-07
金正恩氏、平昌五輪に「選手団派遣の用意」

北韓の金正恩労働党委員長は1日、新年の辞を発表し、平昌冬季オリンピックへの選手団派遣をめぐる協議を提案するなど、韓国への歩み寄り姿勢を示しました。
金正恩労働党委員長は平昌冬季オリンピックに関して、「大会が成功裏に開催されることを心より願う」と語り、選手団派遣については具体的な意思表明は避けたものの、「選手団派遣について協議するため南北当局が可能な限り早く会うこともできる」として、前向きな姿勢を見せました。
また、南北関係について、「南北は緊張緩和に向けて協力し、同じ民族として共に平和と安定を模索していかなければならない」と語り、そのうえで「関係改善に向けた対話と接触のための往来は開かれている」として、異例の融和的姿勢を示しました。
金正恩労働党委員長の新年の辞を受けて、韓国政府は9日に南北当局者会談を開くことを提案、北韓は5日に板門店の連絡チャンネルを通じて開催に同意する旨を伝えてきました。
南北当局者による会談は2015年12月に次官級会談が行われて以来、およそ2年ぶりです。
統一部の関係者は、平昌冬季オリンピック選手団派遣をはじめとする南北関係全般について協議することになるだろうとしました。
金正恩労働党委員長は新年の辞で異例の融和的姿勢を示しましたが、核問題に関しては強硬な姿勢を崩しませんでした。
韓国政府に対しては、「核戦争の策動に加担することなく、緊張緩和のための我々の努力に誠意を持って対応すべきだ」と主張し、「外部勢力との核戦争演習はやめるべきだ」として、韓米合同軍事演習の中止を要求しました。
また、核保有国としての地位を認めようとしないアメリカのトランプ政権に対しては、「アメリカ本土全域が核攻撃の射程圏内にある。核のボタンが私の机の上にいつも置かれているというのは脅迫ではなく現実であることを自覚すべきだ」と主張しました。
金正恩労働党委員長の新年の辞は、核を放棄しないことを改めて強調しながらも、南北関係改善について前向きな姿勢を示すことで、対話への局面転換を図る狙いがあったと見られます。
南北当局者会談については、北韓問題をめぐる韓国とアメリカの連携への影響が懸念されましたが、4日夜、文在寅大統領とトランプ大統領は電話で会談し、平昌冬季オリンピックの安全を確保するためにオリンピック期間中の韓米合同軍事演習を延期することで合意しました。
トランプ大統領は南北間の対話について、対話が実現したことを評価し、「アメリカは文大統領を支持する。南北対話の過程で我々の助けが必要ならいつでも言ってほしい」と述べたということです。
金正恩労働党委員長の新年の辞については、対話と挑発を使い分けて孤立を解消していくのが狙いだとする指摘もあります。
北韓が平昌冬季オリンピックへ選手団を派遣することで南北関係が改善し、それが核問題解決に向けた突破口になるのではないかとの期待もありますが、保守陣営からは、対話は北韓に核開発に必要な時間を与えることだとする批判も出ています。

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