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開城工業団地、操業停止から1年

今週のキーワード2017-02-12
開城工業団地、操業停止から1年

南北間の経済交流の象徴だった開城工業団地の操業停止から1年が経ちました。
北韓は昨年1月6日に4回目の核実験を実施し、2月7日には長距離弾道ミサイルの試験発射を強行しました。
北韓による相次ぐ挑発を受けて、韓国政府は2016年2月10日、開城工業団地の操業を全面的に停止する措置を発表しました。
北韓による核やミサイルの開発を容認しないという立場を明確にするとともに、北韓にとって貴重な外貨獲得源を断つための措置とされています。
北韓は韓国政府のこうした措置に強く反発し、翌11日に「祖国平和統一委員会」が開城工業団地を閉鎖するとする声明を発表しました。
声明は、開城工業団地を閉鎖して一帯を「軍事統制区域」に指定するとともに、韓国企業関係者を追放するというものでした。
また、南北間の対話のチャンネルだった板門店の連絡ルートも閉鎖しました。
その結果、南北間の公式の連絡ルートはなくなり、南北関係は事実上途絶えたままです。
開城工業団地は南北間の経済交流の象徴でした。
韓国が資金と技術力を提供し、北韓は土地と労働力を提供する形で協力が進められ、繊維・機械・金属・電子部品など、韓国企業百数十社が進出して操業していました。
開城工業団地は南北間の唯一の経済協力事業ということもあって、国連の制裁対象からも例外として外されていました。
開城工業団地の2015年1~11月の生産額は5億1549万ドルで、2014年の4億6997万ドルを上回り、過去最高でした。
開城工業団地で働いていた北韓側の従業員は2015年11月末の時点で5万4763人に上りました。
開城工業団地の操業が停止したことで、韓国企業は大きな打撃を受けました。
韓国企業の被害額は1兆5000億ウォンに上ると推算されています。
北韓側の被害も少なくありません。
5万人以上が仕事を失い、韓国企業が北韓側従業員に支給していた賃金が途絶えたことで、重要な外貨獲得源を失いました。
韓国政府の措置は、韓国企業が北韓側従業員に支給していた賃金の大部分が、核やミサイルを開発するための資金に転用されているとの認識から出たものです。
開城工業団地の操業が再開される見通しは立っていません。
国際社会の制裁が続く中、核問題で具体的な進展がない状況で操業を再開する名分がないからです。
韓国統一部は、開城工業団地を通じて北韓側に入っていく資金が核やミサイル開発のための資金に転用されるとの憂慮が解消されない状況で操業を再開するのは無理があるとしています。
経済団体からは操業再開を望む声も上がっていますが、少なくとも現政権で操業が再開される可能性は低いでしょう。

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